「自己研鑽が足りません!」
昨年に引き続き、今年もヤマギシ会から大勢の方がファミリーを訪れています。1泊2日のスケジュールの中で、農作業やお料理体験以外に「いさどんと座談会」というオプションも秘かな人気を呼んでいます。今回のブログではその座談会の模様の一部をご紹介したいと思います。ヤマギシ会からは、きくにい、としバァ、みのたん、こうじさん、しゅうちゃん、ファミリーからはいさどん、まり姉とようこが参加。まずは、きくにいの人生相談から座談会がスタートしました。
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きくにい:
私には2人息子がいて、32歳の長男のことで相談があります。ヤマギシの幼年から高等部まで出た子なのですが、性格的には優しい面もあるし親想いの面もあります。ただ、仕事があまり長続きしないということがあります。
いさどん:
今はどこにいるのですか?
きくにい:
今は村にはいなくて、三重県に住む女の子のアパートで同棲をしています。
いさどん:
同棲は何年くらいになるのですか?
きくにい:
もう1年くらいになると思います。その前は千葉で一人暮らしをしていました。
いさどん:
その頃は自分で働いて暮らしていたのですか?
きくにい:
はい。1年半か2年くらい、宅急便か何かの会社に勤めていました。それで、その会社をやめてからしばらく働かない時期が続き、家賃も滞納するようになったのです。保障会社から「息子さんは家にいてもなかなか出てこないから、家賃も払ってもらえない」という連絡が、親である僕のところに来るようになったのです。それで、こちらも息子に連絡を取ってみることにしました。最初の頃はメールの返事がありましたが、そのうちまったく連絡がつかなくなって、電話しても出ないしメールを送っても返事が来ないし、「これではいかん」と思い、保障会社の方に息子の住所を聞いて会いに行くことにしたのです。
いさどん:
それまで息子がどこにいるか知らなかったの?
きくにい:
千葉にいるということは知っていたのですが、住所まではわかりませんでした。それで居所をつかんで息子に会って話をしたのです。その時の生活状況を見たらお金もほとんどなく、「このままでは生活が出来ないから村に帰って来い」と話しました。そして、2回目に会いに行った時に引っ越しをしてこちらに息子を連れてきたのです。後になって本人は、「本当は帰って来たくなかったけれど、親が来いと言うから嫌々来た」と言っていましたが。
そうして僕と一緒に1ヶ月くらい暮らしていたのですが、そのうち外でのアルバイトで出会った彼女と知り合い、彼女の家にちょくちょく泊まるようになってこっちに帰って来なくなったのです。結局、部屋は確保してあるけれど本人は帰って来ないので、ついこの間部屋を整理して、その部屋に今度結婚する人が入ることになりました。でも、住所はそのままになっているのです。本人には、「彼女のところに同棲しているのだから、彼女のところに住所を変更するように」と言っているのですが、「わかった」と言いながらなかなか行動が伴わないというのが現状です。今はアルバイトもやめて、また無職の状態でいます。
いさどん:
彼女は働いている?
きくにい:
はい。だから、彼女に食べさせてもらっている状態です。それをこれからどうしていったらいいのか。息子にメールを打ってもなかなか返ってこないし、今は居場所も教えてくれないという状況です。
いさどん:
ところで、あなたは息子がどういうふうになったらいいと思っているの?「これなら自分が心配しなくても大丈夫だ」というのはどのようになったらよいのですか?
きくにい:
普通に働いてもらって、自立して生活が出来ていれば、それが親が望むところです。
いさどん:
今、「普通」という言葉が出てきましたが、普通って何だろう(笑)?
としバァ:
今、ちょっと引っかかったことがあってね。子どもに「自立してほしい」と言っている父親の方が実は自立していないんじゃないの?私はきくにいのことをちょっと知っているからね。
いさどん:
さすがとしバァ!面白い観方をしますね。
としバァ:
村でも、みんな子どものことを色々と話すけれど、私は全部その人のことだと思って聞いているからね。「それってあんたのことじゃない?子どものことじゃないよ」とよく言うの(笑)。ちょっときついかもしれないけれど、そういうふうに反対に聞いてみる。「あんたは自立しているの?自立と自力は違うよ」って。子どもの問題じゃないと思っている。
きくにい:
実は、僕もそう思ったんですよ(笑)。木の花ファミリーに来て、「問題の種は自分の心の中にある」と気づいたのです。その種を取り除かない限りは、姿形を変えてまた問題が起きてくると。
いさどん:
その話を始めたら、もうアドバイスはいらないね(一同、笑)。
きくにい:
ここに来て、そうやって言われましたから(笑)。
いさどん:
これは法則だからね。「誰かが言ったから」というものではなくて、この世界の法則なのです。
きくにい:
だから、「子どものことはやはり自分の問題なのかな」と思ったのですが、ちょっと相談してみたい気持ちもあったものですから。
いさどん:
自己研鑽ですよ!
みのたん:
僕はきくにいの息子さんの話をヤマギシの研鑽学校で聞いていました。
いさどん:
そのことはみんなのこととして取り上げられているの?
みのたん:
きくにいがその話題を研鑽学校で出したので、知っている人は知っています。今、きくにいがここでもその話題を出すということは、まだそれが解決されていないということだよね。
きくにい:
解決されていない。
としバァ:
自分をちゃんと研鑽していないんじゃない(きくにい、苦笑)?それなら何のために研鑽学校に行ったのかわからないわね(一同、苦笑)。
いさどん:
僕はそういう話の相談に乗るのが得意なんですよ(笑)。ちょっと聞きたいのは、彼は今32歳でしょ? ヤマギシでずっと育って、いくつで社会に出たの?
きくにい:
はっきりとは覚えてないのですが、24、25歳です。
いさどん:
それまでは何をしていたの?
きくにい:
千葉に友達がいて、その友達を頼って新聞配達を始めたのです。その友達も新聞配達をやっていましたから、その子の紹介でね。でも、うちの子はねぼすけなんですよね。
いさどん:
新聞配達でねぼすけ(一同、笑)!それでは最初から適性検査ではねられてしまうんじゃない(笑)?でも、ねぼすけを直すために新聞配達に行く人もいるからね。
きくにい:
それでよく遅刻をしていたらしくて、結局そこはクビになりました。
いさどん:
クビになるということは良いことですよ。社会というものがどういうものなのか、それだけ覚えるわけでしょ?それで僕が聞きたいのは、彼が32歳になるまでそういった歴史があるわけです。きくにいはいきなり今の同棲の話からしたけれど、そこで問題が発生しているわけではないはずです。
きくにい:
もっと小さい時からということですよね。
いさどん:
そうそう!そこのところに原因があるはずなのです。そして、本当はもっと前の段階、彼が育っていく時の人間形成がどうだったのか、そこから社会に対してなぜ不適応になっていったのか、ということを観ていく必要があると思うのです。
きくにい:
心当たりはあります。
いさどん:
あるでしょ(一同、笑)!それがあるのに、いきなり結果である問題の話から始めるものだから、僕としては答えようがなくなってしまいます。そこには自分の性格が表われていると思いませんか?
きくにい:
はい(笑)。そう思います。
いさどん:
それなら自己研鑽すればいいじゃないですか(一同、笑)!ヤマギシには研鑽学校というものもあるのだし、そこで研鑽することをマスターすれば、日々の中で自分がそれをやっていけばいいじゃないですか?僕は冷たいかな(笑)?
きくにい:
いや。。。
としバァ:
当たり前のことよね。
いさどん:
としバァはそう言うけれど、出来ない人もいるんだよ。
としバァ:
やろうとしていないだけじゃない?
いさどん:
やろうとしていないだけだって(笑)。それと僕が想うのは、32歳の息子が千葉のどこで暮らしているのかわからない。結果として向こうから連絡があったとしても、それは親のことは忘れられているということだよね。忘れられているということは幸せなことでもあるのです。息子が何をやっているにしろ、親が色々な事情を知らなくてもいい状態で暮らせているということだから。世の中には四六時中子どもを監視しないといけない状態にいる親もいるのです。
息子が彼女と同棲しているというのも、彼女を見つけられない男の子もいるのです。それに働くことがあまり長続きしないと言っていたけれど、ヒモになっているのは甲斐性!それで食べられているのは大したもの、という観方もあるよね。そう考えると、息子は上手に生きているじゃないですか(一同、笑)。
きくにい:
ただ、さっき言ったように家賃は滞納しているのですよ。
いさどん:
滞納しているお金は息子にその支払いをさせればいいじゃないですか。別にきくにいが保証人になっているわけではありませんよね。
きくにい:
はい。
いさどん:
あなたは息子の人生を自分のものにしているけれど、息子の人生を息子に返したらどうですか。それって、所有ですよ(一同、笑)。最近、春日山ではともちゃんが醤油をつくろうと言っているんでしょ?
みんな:
・・・?
いさどん:
それはどうでもいい話。醤油と所有をかけただけだから(一同、爆笑)。僕に相談して来る親御さんに結構子どもを所有している人がいて、「こうであるべきだ」と子どもに接する人もいるのですが、「子どもの人生は子どもに返してあげなさい」と僕はいつもアドバイスするのです。
今、きくにいは息子のことだけ話すけれど、きくにいの奥さんの存在が息子との関係の中で全然出てきません。そうすると、この夫婦関係はどうなのかということが僕にはピンとくるのです。まずはこの夫婦関係から子どもの人格は形成されてきているのです。それでも、この息子は親に極端に依存しているわけではありません。
きくにい:
はい。どちらかというと、親から離れたいのだと思います。
いさどん:
つまり、きくにいは依存していない息子に対して、「おまえ、それでいいのか」とちょっかいを出しているのです。世の中にもっと病的な親子関係があるのだとしたら、この息子は結構自立心があると思うのです。それを評価していない。これは、やはり研鑽学校の学びが足らないということです。もう一回受け直してみたらどうですか(一同、笑)?
僕は通常相談に乗る時には家系図を書いてもらって、まず相談者がどのように育ってきたのか。その次に結婚していれば配偶者がどのように育ってきたのか。そして、当人の人格はどういう人なのか、配偶者の人格はどういう人なのか。夫婦の相性はどうなのか。そこでどういう心の環境が出来て、どういう子どもが出来たのか。その子どもの人格はどうで、親の影響をどう受けているのか。その関係の中で引きこもりやうつ病、社会に適応しない子どもになるのかを見ていくのか一般の相談の場合です。
でも、ヤマギシの人には「研鑽する」というベースがあります。そうすると、本来はそういうノウハウを持っていて、学びの中で自己研鑽が出来ているはずなのに、それが出来ていないということなのです。つまり、きくにいは怠慢ということです(一同、笑)!自己研鑽が怠慢ということです。
きくにい:
ずばり、その通りだと思います(一同、笑)!
いさどん:
研鑽学校のルールに沿ってやっていけば、「僕にはここが欠けていたな。わかっていても、ここをやっていなかったな」ということが観えてくると思うのです。そうしたら、あとは実行するだけです。
ようこ:
ここで重要なのは、きくにいの心の中に問題を引き起こす種があるということ。だから、ここで形に捉われて「今、息子との関係に執着があるから、息子と離れればいいんだ」とそれだけをやると、心の中にはまだ問題の種が残っているわけだから、今度は心の病になったり他の人間関係でトラブルが起きる可能性も出てくる。だから、息子との距離という物理的なことで終わらせないで、まずは自分の心の性質を知りそれを健全な方に持っていくという根本を変えていけばいいと思います。
いさどん:
それは木の花研鑽学校に入らないと結構難しいよ(一同、笑い)。それをここでは毎日やっています。今日自分に出てきた不満や、自分の中に湧いてきた想いが何だったのかということを毎日紐解く。きくにいのような心の状態で日々を生きるということは、ここではありえないのです。つまり、きくにいがそういう想いを持っているということは全体の問題だから、本人がそのままにしておいても、まわりがほっとかないのです。「今日、きくにいはこんなことを言っていたよね。本人が出さなくても、それってちょっと問題じゃない?」と出してくれるのです。それは木の花の良いところです。
まり姉:
基本的に自己研鑽は自分一人では出来ないと私は思っているから、みんなに「お願いします!」と委ねています(笑)。
みのたん:
ほっておくというのもありますよね。
いさどん:
それは一番大切なことなのですが、最初からほっておいてはダメなのです。味噌でも醤油でも仕込んだ後にそれでそのままほっておくのかといったら、醤油だってかい入れをするし、味噌だったら半年に一回くらい状態を見ます。だから、ほったらかしではダメなのです。仕込んでほっておいても、途中でちゃんと様子を見る。つまり、ただほっておくのではなく、熟成させながら見守ることが必要なのです。
だから、この場合の「きく味噌(一同、笑)」はいじくり過ぎています。それではダメなのです。きくにいは息子のことを変にいじくり過ぎているんだよね。頭がまわり過ぎるでしょ?
きくにい:
いや、まわらないと思いますが。
いさどん:
それはまわっているのだけれど、適確にまわさず成果が出ない形でまわっているから、まわっていないと感じるのです。
きくにい:
無駄にまわしているということですね(笑)。
いさどん:
そうそう!「息子はどうしているかな?」とああでもない、こうでもないと沢山まわしていると思うけれど、歯車が噛み合わない形でまわっているのです。
ようこ:
エネルギーをまわす方向が違っているということ。もっと社会のためとか、地球のためとか、世の中の方にまわすといいと思いますよ(一同、笑)。
いさどん:
だって、全人幸福でしょ?それでヤマギシに参画しているんでしょ?でも、実際には息子のことばかり考えているじゃないですか(一同、笑)。
きくにい:
息子のことばかり、ということではありませんが(笑)。
としバァ:
世の中のことや地球、宇宙規模のことが本当に自分の中にあるかどうか、というのはすごく大事だと思う。それがない限り、子どもに想いを向けたって上手くいかないと思うのよね。本当によく考えないとダメな時に来ているんじゃないの?
いさどん:
とりあえず、今の話は自己研鑽が足りないということに尽きるのではないでしょうか。もし、自己研鑽が難しいなと感じたら、ヤマギシの研鑽学校で何をやったのかをもう一度振り返ってみる。それで解答が出ないようなら、木の花研鑽学校に入学してみる。そんなところでどうでしょうか?
みのたん:
これできくにいの問題は解決したのですか?
いさどん:
この場合は解決しない方がいいのです。木の花でケア滞在者を預かる時に、僕たちはその人の問題を解決してあげません。みんなでアドバイスをするし一緒に考えることはしますが、解決はしません。こちらが直すと依存症になるからです。それから、もし教祖がいて解答を出していたら、信者が出来ますよね。信者が出来てしまったら宗教になるのです。誰でも自分の解答は自分で持っているはずなのです。それを自らが出せる人になった時に、この世界は理想世界になるのです。医者がいるから患者がいて、でも医者がいなければ自分で病気にならないようにしたり、自分で治すことを考えるはずです。だから、解答を出してあげることが良いばかりではないのです。それでは人は育ちません。
そうすると、息子の問題は息子に返してあげるのだし、きくにいの問題はきくにいに返さないといけないのであって、もしまわりの人たちが仲良しだからと言って解答を出してあげたら、きくにいはいつもみんなに解答をもらう人になってしまいます。きくにいは息子を所有していたし、みのたんはきくにいを所有していたことになる(笑)。
みのたん:
きくにいがここでも息子の話題を出すのかと思ったので。。。
いさどん:
きくにいはこういうことが好きなのだと思います。そういう心の体質をしているのでしょう。それがこの人の中にあるエネルギーの消費の仕方なのです。さきほどとしバァが、「もっと広いことを考えたらどう?」と言っていたでしょ。例えば地球のことで悩んでいたら、きっと息子のことにエネルギーを使わなくなるのです。つまり、他のところにエネルギーを使わないものだからエネルギーが余っていて、そんなことに使っているのです。ひとりの人間が使うエネルギー量というのは、多い人も少ない人もいますが決まっているものです。それをどこに使っているかによって人生が変わるのです。もっと広く世の中のことを考えている人は、身近なことにエネルギーを使わないのです。
これからはヤマギシの高齢化についてちょっと悩んでみるというのはどう(一同、笑)?そうすると、息子のことはどうでもよくなるものです。
みのたん:
いさどんの話を聞いていて面白かったのは、人生相談のようなことから社会のことにまで話が広がるんだなということです。最初は、「この話がどういう展開になるのだろう?」と思っていたのですが。
いさどん:
僕はいつも先の展開を考えず、行きあたりばったりで現場合わせです(笑)。社会にまで話がつながるというのは、こういう親がいてそういう息子がいるということも社会の問題を創っているからです。
きくにい:
ひとりひとりがね。
いさどん:
そうです。だから、社会をどうするのかは、みなさん一人一人に託されているのですよ。つまり、社会を良くするかどうかは社会を構成する一人一人の手にかかっているのです。ヤマギシもせっかく「全人幸福」と言っているのだから、自分たちの中で自己完結せず、ヤマギシの人たちで社会についてもっと悩めばいいと思うのです。今まであまり社会のことについては悩んでこなかったでしょ?
みのたん:
今まではヤマギシのためにヤマギシを拡大させてきたという感じがあったのだと思います。
いさどん:
ここには、常にケアの人が来るでしょ。まり姉もケアのような形でここに来ているしね。
まり姉:
私は教師だったから、教師によくあるパターンでうつ的に自分で何でも抱え、おかしくなっていった。真面目と言われている人ほど潰れていくという典型的なパターンです。そして、そういう人たちがここに寄ってくる(一同、笑)。だから、ここでは社会にあるものが先取りしてやってくると言われています。
いさどん:
ここでは社会のことが訪れる人によって観えるのです。だから、常に社会を把握し社会のことを考えているのです。自殺についてもそうです。これからのヤマギシもそういうふうに変身するべきだと思います。自分たちの充実は十分出来ているのだから!僕はこの前春日山に行って、「ここは桃源郷だな」と思ったけれど、「僕もここで暮らしたらボケるかもしれないな」とも思いました(笑)。
こうじさん:
僕は今の話を聞いていてね、うちにも25歳の息子がいるのです(一同、笑)。それで、ちょっとパターンは違うのだけれど、うちの息子も3年くらい同棲しているのです。僕は普段、「自分は自分だし、他人を変えることは出来ない。だから、自分が変わっていくしかない」という想いがあるのですが、今のいさどんの話を聞いていたら、「やっぱり俺は息子を所有しているんだ」とわかりました。
いさどん:
昔、こうじさんも同棲していなかった?
こうじさん:
いや、していません。
いさどん:
僕は同棲していたよ(一同、笑)。同棲時代!神田川の時代です(笑)。
こうじさん:
うちの息子は普通に働いて暮らしているのだけれど、ぼつぼつ身を固めたらいいんじゃないかとどうしても思ってしまうのです。うちの女房は「本人のことだからそんなこと言っても仕方がないでしょ」と言うのですが。
いさどん:
女房の方が賢いですね(一同、笑)。
こうじさん:
というふうにも思うのだけれど(笑)、やはり僕としては籍を入れずに中途半端なままでいいのかなという想いもあるのです。
いさどん:
あなたは決めつけが激しいですね。
こうじさん:
そうだと思います(笑)。
いさどん:
息子は息子の人生だし、自分だって親の言う通りに生きてこなかったでしょ?
こうじさん:
はい(一同、笑)。
いさどん:
それって、やはり自己研鑽の対象だよね(笑)。
きくにい:
自己研鑽したらどうですか(一同、爆笑)?
まり姉:
要は、同棲ではなくて2人が籍を入れたら悩まないということですか?
こうじさん:
まあ、わからないけれど、そうですね。
いさどん:
それって古いよ。大正時代の話だよ(笑)。
としバァ:
一緒に住んでくれる人がいるだけありがたいじゃん。
いさどん:
それと、一緒に住んでいたって籍を入れないといけないというルールなんてどこにもない。
こうじさん:
でも、籍を入れていなくて2人が別れた時に、相手がどのような気持ちになるのかなとか。。。
いさどん:
つまり、彼女の方が大事なの?
こうじさん:
いや、というよりも、彼女の方を傷つけることにならないかとか。。。
いさどん:
もし彼女がそういうふうに別れて傷つくのだとしたら、それは彼女の人生の問題だから、こうじさんは彼女まで所有していることになるんじゃない?
こうじさん:
そうかもしれませんね(笑)。
いさどん:
エネルギーが余っている!やはりこれからは地球や宇宙のことを考えていかないと(一同、笑)!
こうじさん:
今の話を聞いていて、やはり自分を所有しているのだと思いました。
いさどん:
よく考えると、それって越権行為だよね。だって、彼女と息子が考えればいいことなのに、「彼女が傷つくかも」ということまでお父さんが考えているのだから(笑)。だけど、傷ついてから彼女もそこで色々と学んで育っていくわけなのに、お父さんが息子の恋愛や人生まで「こうでなくてはいけない」と全部シナリオを描いている。僕はこういう親を持ったら困るね。あなたも困るでしょ(笑)?
こうじさん:
「自分もその立場だったら困るだろうな」と思うのだけど(笑)。
いさどん:
完全に自己研鑽が足りません!
まり姉:
その「けど」がダメですよ(笑)。
としバァ:
研鑽学校で習わなかった?「たらたらたら」と「でも」はありません!って。
いさどん:
やっぱりヤマギシでも同じことを言うんだ。ここでも「けど」は御法度です。二つの心を持つことになるからね。息子の話はもういいでしょ?
こうじさん:
はい(笑)。
いさどん:
あとは自己研鑽あるのみ(一同、笑)!
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(座談会から10日後、きくにいから以下のようなメールをいただきました。)
1月24,25日に木の花を訪問し、座談会でまな板に乗ったきくにいです。
木の花から帰ってから座談会の様子を妻に話したら、「息子の事も考えて出したの?」と言っていましたが、私は包み隠さず出せて良かったと思っています。この事で一歩も二歩も進んだ様に思います。息子の事はもとより、自分をも所有していた事に気づかされました。
私は小さな小さな細胞ですが、生かされるところで生かしてもらえればと思います。今までは「自分が幸せでなければ他の人を幸せに出来ない」と思っていましたが、今は「他の人の幸せや喜びに繋がる事で自分が生かされれば、それが自分の幸せになる」という、こういう思考回路はどうだろうかと思っています。
日々自己研鑽をしてますよ。