「私、辛くて辛くて」

ケアスタートしてから1週間が経過した、
64歳のちよこさんといさどんの朝の会話です。

ちよこさん:
いさどん、私辛くて辛くて、
薬を1錠のところ3錠飲んでしまって。。。
でも薬が効かないんです。

いさどん:
最低1ヶ月くらいは、
新しい環境で自分を見つめるという作業をしないと。
今は薬も効かない状態なんだから。

「辛くて辛くて」と言うけれど、
一度そこを抜けられて、
そのコツを自分で掴めたらチャンスです。
それを、「もうダメだ、もう死にたい。辛くて薬を多く飲んでみた。」
薬を飲んでも飲まなくても効果は同じなのですから、
それこそチャンスです。
そこで自分を客観的に見る眼を育てていけば、
越えていく力が生まれてくるものです。

ちよこさん:
でも、本当に辛いんですよ。
起きたり寝たり起きたり寝たり。

いさどん:
それはもう何度も聞いているから、十分理解しています。
確かにそうだろうと思います。
骨折をしている人に「しっかり歩きなさい」と言わないでしょ。
「あなたは足が折れているんですから、
骨がしっかり固定するまで安静にして下さい」と言いますよね。
でも、「代わってあげましょう」というわけにはいきません。

あなたが辛いのは十分わかっています。

ちよこさん:
すいません。それが私の口癖で。。。

いさどん:
そこです!
その癖に気づき、「またそういう方向に行っているな」と
自分でコントロール出来るようになったら、
大分ちよこさんの状態が変わると思います。

ちよこさんは、
「自分に何かがとりついているんじゃないか」と言いますが、
病気というのは気が病むと書き、
心にとりついたものです。
霊とかそういうものではなく、
心の癖にとりついたものだと僕は思っています。

お祓いしてとれるものなら、それはそれでいいでしょう。
しかし、心の癖は自分の中から湧き出てくるものです。
そうしたら、その癖を取り去る作業をするのが一番いいことです。
仮にお祓いで一時的にとれたとしても、
癖はまた出てくるものですから、
また同じことを繰り返すことになります。

ちよこさん:
その癖は前世からのものですか?

いさどん:
その前世というのは何ですか?
そういう前世だとか霊能者だとか得体の知れない話ばかり、
ちよこさんはするんですよ。

そういったことよりも大切なのは、
今の自分の心が自分に対してどういうものをもたらしているのか、
日々の送り方が自分に対してどのようなことをもたらしているのか
をしっかり見つめることです。
バランスの良い、ものの捉え方が
出来るような自分を育てていくことです。

私たちは魂の存在ですから、きっと前世もあったでしょう。
しかし、そういうことの延長に
確実に今の自分があるのですから、
前世がどうだったかなんて
不確かなことは知る必要がありません。
今の自分を見さえすれば、
問題事も見えてくるわけですから。
今の状態をどうするかだけです。
今の自分としっかり対話していくことです。

そこで、「そうですね、
そういうふうにしないといけませんね」
という言葉や姿勢が出てくると、
状態が変わってくるものです。
しかし、今のちよこさんは、
「そんなこと言ったって、私はこうなんです」
って全部はねのけてしまい、
自分が混乱する方向へ発想を育てているという状態です。

その人の人柄がその人の人生をつくっていくんです。
ちよこさんは、自分自身を誤魔化して
他のせいにしている状態です。

ちよこさん:
。。。頑張ってみます。

いさどん:
まあ、今は頑張らないといけないのですが、
そのうちに「頑張らない」ということを覚えるといいですね。
頑張るというのは、
起きていることに対して対抗している状態です。
大切なのは、今の状態を受け入れるということです。

今そういう状態が起きているのには理由があるはずです。
この世界の出来事は全て神様の意志であり、筋道が通っています。
「ああ、きっと今の私にとってこれが必要なんですね」と
それを受け入れるということが大切です。

神様は善意ですから、
「善意でこういったことを起こされているのに、
私は不愉快に受けとっている。
その受け取り方が間違っていたんですね。
これからは何でもいただきます」
という心になっていくと、そういったことから卒業できます。

起きることに不満ばかり言っていても、
その種はどこにあるのかといったら、
自分の心の中にあるのです。
この世界は自分を見せてもらっている鏡みたいなものですから、
自分を知って学んでいくことが生きている目的です。

心の病気をどうやってまわりがサポートしていくのかといえば、
心の支えとしてサポートしていくしか方法はありません。
そして、お医者さんの薬が足しになって効けばいいのですが、
今はそれも全然効かない状態ですから。

こんなに薬が効かない人に会ったのは初めてです。
ある意味良いことですが、
普通、量を無視して飲んだらふらふらになっています。

自分で出来ない時には、
人の言うことを聞いて治すしかありません。
その時に、「本当に治るんでしょうか?」と聞くのは、
相手を信じていないということです。
これに賭けようという心がない。
「信じるものは救われる」というのは本当ですよ。

ちよこさんは、同じことを何度も繰り返しているでしょ?
「また同じことをやっているよ」と
自分で笑ってあげるくらいにならないと。

日にちが薬です。
せっかく自分の中で積み重ねていこうとしても、
否定的な心がそれを逃がしてしまいます。
また御破算にして最初からやり直すことにもなるのだから。
薬が多少でも効く人だったら、それもいいかなと思いますが、
ちよこさんの場合薬が効かないのですから、
それだったら飲んでも仕方がない話です。
そして、薬から離れていくチャンスにもなります。
何でも良い方向に捉えていきましょう。


ケア滞在者に接する時の心構え

今、ここでケア滞在をしている人は7人います。
これは過去最高の人数です。
今まではケアの「主治医」であるいさどんや、
サポートメンバーのまりちゃんやようこが
主にケアの人と接することが多かったのですが、
ここまで人数が増えてくると、
メンバー一人一人の関わり方が非常に重要になってきます。
そこで今回のブログでは、
いさどんが語った「ケア滞在者に接する時の心構え」についてシェアしたいと思います。

問題事は、ある意味ではその人の自己表現であり、
本当の自分を取り戻すための負の部分のエネルギー消費です。
それは膿みたいなものですから、
全部出し切らないと改善に向かいません。

多少は相手の状態を粘り強く伝えてあげることも必要だけれど、
それはあくまで多少であって、
強く伝えるとそれ自体が相手にとって苦痛になることもあります。
だから、「もうちょっとしたら良くなるのに惜しい」という発想を捨て、
心が内省に向いていないとなったら
いつでも手放してあげられるような心構えが大切です。

こちらが提供出来る客観的な情報を受け取り、
それを自分の中に積み重ねていける人や、
自分の中の負のエネルギーをどんどん消費していく人に
こういった環境を提供することが大切です。
そういう意志がない人に提供しても、
一見優しさのようだけれど、
実は余計な苦痛を与えたり、
場合によっては対立を生むこともあります。

しかし、あまりにも事務的であっさりしていては、
その人が改善する手助けにはなりません。
多少の負荷をかけ、
その人がチャンスを掴む機会を与えるということは必要です。
でも、相手に無理強いさせるような行動は避けるべきです。

「あなたのありのままの状態でいいんだよ」と言う人もよくいますが、
それも偏った見方です。
そういうやり方でそのままの状態でい続けることは、
その人が次のステージに行くための可能性を潰すことにもなります。

だから、多少の負荷をかけますが、
それもキャッチボールで、
その負荷がその人を新しいステージに導く場合にはそれも必要です。
しかし、そうでない場合には、
その人が自分の心にふさわしい場所に行くことを
認めてあげることが大切です。

ここは改善していく場であり、
そのまま改善しない人がい続けるところではありません。
改善していく場だから負荷をかけますが、
その状態でいることがその人にとってふさわしかったり、
もっと悪くなっていく意識を持っている人には、
それを「ダメだ」と言わず、
その人にふさわしいところに送り出してあげることも大切です。

そのことによって、人生という旅の中で
自分の中にある種から発生するエネルギーを
消費させていくことが出来ます。
問題事は自己表現であり、
負のエネルギー消費ですから、
そういうふうに気長につきあっていき、
負のエネルギーをどんどん出す環境を与えてあげることも大切です。

負のエネルギーを消費することによって、
その人は「自分にこれはもういらない」と気づいていくことが出来ます。
それを全部消費し切ってしまえばいらなくなり、
そして調和的になります。
逆に、種がある人が調和的な中にいると、
それ自体がいらいらして自己主張したくなります。
しかし、種はエネルギーを出してしまえば、
種として機能しなくなるから消えてしまうのです。

だから、ケア滞在者に接する時には、
「治してあげよう」と思うのではなく、
「あなたは今こういう状態ですよ」と
客観的な情報を提供し続けることが大切です。
そして、その人が自分で自分を客観的に見て、
冷静に自分を判断出来るようになったら、
病気の状態は自然となくなっていくものです。

問題事は全部自分が起こしたものだから、
本人がそのことを受け取らないとどうしようもありません。
「もうちょっとしたらこの人は良くなるのに」という熱い情熱ではなく、
冷静にケアに望み、その人の問題をその人に預けることが大切です。


心のリフォーム「おやじの館」

ある日のこと。
ここを訪れた方から、
「おやじの館って何ですか?
おやじが沢山いるんですか(笑)?」
と質問されたいさどんはこんな話をしました。

いさどん:
僕は5月で59歳になり、
来年は60歳になります。
僕の人生は20年単位で変わり、
20歳の時に社会に出て一般社会の中で生活をしました。
40歳で建築内装業の会社をやめ、
今のような生活が始まりました。
そして、60歳から新しい人生が始まります。
これから何をするのかといったら、
自殺者をなくす活動をしようと思っています。
今ここで行われているケアの延長なのですが、
自殺者をなくすための家が「おやじの館」です。
名前はもう決まっているんです。
だから、おやじ対象の場所ではなく(笑)、
このおやじが中にいて訪れる人の相談に乗ります。

死ぬということは人生最後のセレモニーですから、
死に方を健全に全うにしないということは、
人の尊厳が失われているということです。
それを保って死を迎えることは大切なことです。
死ぬための心構えをつくる場所をつくらないといけないと思っています。

1週間前からここにケア滞在をしている64歳のちよこさんも、
来た当初は「生きているのが辛くて辛くて、
死ぬことばかり考えてしまうんです」と言っていました。
今朝も、「ああ辛い、ああ辛い」と言うものだから、
「辛ければ、無理せず薬を飲んだらいいよ」と言いました。

お昼ご飯の時に彼女に会ったら、
「ああ辛い、ああ辛い」とまた言うものだから、
「どうしたの?」と聞くと、
「薬が効かないから辛いんです」と言うんです。
そこで僕が、「薬を飲んでも飲まなくても辛いのなら、
飲むのをやめておこうよ」と言いました。
そうしたら、ちよこさんは笑っていました。

こんなふうに僕は
冗談を言ったり半分ごまかしながら、
薬をなくしていって、
正常な精神の方に語りかけ
それを引き出すということをしています。
お医者さんがなぜこういうことをやらないのかと言ったら、
そういった考えがないからです。
それに時間と手間はかかります。
手間はかかっても、
僕はこれが一番いいと思っています。
副作用もありません。

ボロボロになっている人の心を新しくつくり変えて、
新しい人生を見せてあげる「心のリフォーム」が僕の役割です。
心の問題を持っている人がここに沢山訪ねてきますが、
心がボロボロになって自殺する人たちがいるのは
とても不幸なことです。
皆が自分というものを取り戻し、
心身ともに健全になっていけば、
健全な社会が訪れます。
人々がともにつながり安心して豊かに暮らせる世界。
それが「おやじの館」のおやじの想いです。


自分の中から湧き出る思いがあれば

1月6日から心と体の体質改善のため
ケア滞在中の19歳のりおちゃんが、
ここに来てからもうすぐで丸3ヶ月になります。
滞在前3ヶ月で20kg増えた体重を元に戻し、
とりあえず二桁まで体重をもっていくということも、
ケアの目的の一つでした。
最初の2ヶ月間は
順調に1ヶ月10kgペースで体重も減っていましが、
3ヶ月目に入ってからは横ばい状態でした。
そんなりおちゃんと、同居している叔母さんといさどんの
3ヶ月面談の様子を今回は紹介したい思います。

いさどん:
りおちゃんの場合、
今のところ何かが問題というよりも、
生活の規律を整えていくことが大切なのですが、
この人はマイペースで、積極的に取り組んでいこう
という意欲がなかなか見られません。
体重についても、
そんなに食が進む方ではないと思うのですが、
その割には体重も落ちていきません。
ただ、無理やり減らしていくというのも問題ですから、
体を動かしながらバランスのいい生活の中で
体重が落ちていくというのが理想です。

小学校の低学年くらいまでの食が
こういった体質に影響します。
しかし、実際にそうだからと言って、
バランスのいい体にならないというわけではありません。

りおちゃんの気持ちとして、
自分を前に押していくというのが
なかなか見られないですね。
だからと言って、
「こうしたらいいよ、ああしたらいいよ」と
まわりの人が伝えても、
この人の中には自分の意志でやっていきたい
といった思いがあります。
もうちょっと積極的に取り組んでいかないと、
これ以上ここにいてもなかなか成果は上がらないです。

当初、体重が20kg減ったことに関しては
何とかなったにしても、
それ以上のこととなると、
よほど本人が自分の生活スタイルなど
色々なことに対して自覚して取り組まないと難しいです、
という話は前回の面談の時にしました。

外で積極的に農作業をやろうとしても、
やはり体力を使う仕事となると、
それなりの体が出来ていないと難しいんですよね。
だから、どうしても軽作業ということになってしまい、
今のところこれ以上の成果は
なかなか望めないという状況です。

とりあえず、4月5日で丸3ヶ月です。
前回、「これからどうするの?」と聞いたら、
「4月5日でここの滞在に区切りをつけて、
半年くらい叔母さんのところにいて、
10月から大阪へ行って友達と一緒に住む。
それまでの半年間は
アルバイトでも見つけて仕事をする」と言っていました。

りおちゃんは幼い時に両親がいなくなり、
小さい頃から孤独だったからなのか、
自分の考えで何でも進めていき、
まわりの考えを聞いてそれに合わせていく
ということがあまりありません。
自分のやりたいこと以外のことはやりたくない
という傾向は見られると思います。

でも、自分のやりたいことをやった結果、
今の状態になっているのですから、
自分がやるにしても自分の健康体を保て
規律ある生活リズムを身につけていくことが必要です。
その意味がりおちゃんには
まだよくわかっていないのかなと感じています。

今後どうしていくのがいいのか、
ご家族の方と一緒に話し合ってみようということで、
今日はお越しいただきました。
前回りおちゃんと話した時には、
「作業でも何でも前向きにやってみようよ」
と声はかけたので、一応はやっているんだよね。

りおちゃん:
午前と午後両方とも
作業に出るようにしています。
実は、あの後一人で考えたり、
ファミリーの人たちと話をしていく中で色々と考えました。
大阪に行くのは変えない。
それは自分で決めたことだし、
友達にももう言ってあるし、
どうしても一緒に住みたいからそれは変えない。
でも、この間いさどんと話をした時に、
「大阪に行くまで半年もあるね」って言われたから、
半年をちょっと削って、
もうちょっとここで皆と一緒に作業をしたいなと思いました。

だから、自分の性格が変わるまでもうちょっとここにいようかな、
と色々な人と話をして思ったんです。

いさどん:
自分で思ったの?

りおちゃん:
はい。

いさどん:
そうやって自分の中から湧き出てこないとね。
ただ言われているだけでは、
ここにいても成果は出ません。
やはり自分で自分に負荷をかけていかないと。
「こうしたらどう?ああしたらどう?」と人から言われても、
自分の中で「そうだね」と思う心があってやるのと、
ただ言われてやっているのでは
成果が全く違います。

今初めて、その話を聞きました。

りおちゃん:
ちなっぴとよく同じ作業になって、
色々話をしてくれて。

いさどん:
ちなっぴも昔は体重が多かったけれど、
ある時からすごいエネルギーで
自分に負荷をかけるようにして、
今はバランスの良い人になりました。
ちなっぴは思い立ったらどこまでもやりきる人です。
りおちゃんは頑固者ですが、
良く言えば自分が思ったらやりきれる人なのだから、
そのくらいの気持ちでやれればいいね。

これから大阪に行って仕事をしていくにしても、
まわりの評価によって自分が表わされていくわけだから。
しっかり規律を持って生きていくということが、
生きる上での大切なポイントです。
そこのところに気づいていかないと。

今、話を聞いてみてどうですか?

叔母さん:
今、「もうちょっとここで頑張ってみたい」
と自分から言ってくれてすごく嬉しかったんです。
もし、ここにいるのが嫌になっているのだったら、
今日にでも連れて帰ろうかと思っていました。
ここにとっても迷惑になるだけでしょうし。

私がここを選んだのは、
りおの体が痩せて
細胞を活性化させていくということもそうなんですが、
ここには色々な人たちがいるので、
若い時に3ヶ月であっても、
そういう貴重な出会いを経験すれば
いずれは役に立ってくれるんじゃないかと思ったからなんです。

農作業は自分がやりたい
と思ったことではないかもしれない。
でも、規則ある生活を身につけるとともに、
自然からも作業からも人からも得られるものを得て、
自分が今いる環境を
積極的に活かしてほしいという思いがあったんですね。

そうは言っても、
本人が気づかないとダメですよね。
本人に気づいてほしいとずっと思っていたのですが、
今のりおの言葉を聞いて、
ようやくそうなってきたのかなと。
今、滞在予定の3ヶ月が終わりに近づいていますが、
今から短くても
そういう信頼のある交流があるといいと思います。

やっぱり、りおは小さい頃から孤独だったんだと思います。
心から安心して信頼出来る関係をまだ持てていないし、
自分をさらけ出していくことをしてこなかったんだと思います。

私たちは、りおが自立するまで
見守って応援していきたい気持ちはあるので、
本人に「ここでもうちょっと学びたい」
という気持ちあるのであれば、
ぜひお願いしたいと思います。
心からそう思っているのであれば
本当に素晴らしいことだと思うし。。。(涙があふれてきます)

いさどん:
この間話した時は、
「このままにしておくと、
洞窟にこもっている熊みたいな生活が変わらないから、
そろそろはっぱをかけないといけないのかな」と思っていました。
その時は人に言われてむっとした感じだったので、
「怒っているの?」と聞いたら、
「怒っていません」と言うのだけれど、
そういうふうに見えたんだよね。

最終的には、自分のことだから
自分のことは自分で出来るようにならないといけません。
ここにいても
いつかは旅立っていく時が来るのだから。
もし、りおちゃんにここで
もうちょっと頑張ってみる気があるのなら、
真剣に取り組んだらいいよね。

親子関係が難しいから、
友達にしか本当のことを言えないという人がいますが、
この人は本当の心を表現する関係を
築いてこなかったように思えます。
自分のことは自分でやっていくということは、
ある意味では強い意志なのかもしれないのですが、
ある意味ではなかなか人の言うことを
採用できないということになります。
言われると壁をつくってしまうようなところがあるのかなと、
このところ特に思っていました。

そういう意味では、
ここでも今までお世話になっていた
叔母さんたちにもそうですけれど、
そういう人にこそ自分の心を開き、
柔らかい人間関係をつくっていくことが大切です。
人間関係には縁の切れる人間関係と、
絶対縁の切れない人間関係があります。
そういうものを大事にしていかないといけません。

叔母さん:
この子は反発すると結構きついんですけれど、
相手がいさどんなら大丈夫ですね。
いさどん自身がむかつくこともないだろうと
安心していたんです(笑)

いさどん:
こちらには何もありませんね(笑)。
ただ、他の人であれば
自分の感情を露わにする人もいますが、
実はそのくらい本当を出してもいいんです。
りおちゃんは自分という中に入ってしまっています。
本当の気持ちをもっと出すといいんです。

僕らとしては何があっても、
この人が「良い人生を生きてよかったね」
と思えるような人生を
これから歩んでくれればそれでいいんです。
それが目的ですから。

叔母さん:
本当にそうですよね。

いさどん:
自分にとっては良いことであっても、
相手との関係においては
自分にとって良いことが
相手にとっても良いこととは限りません。
そうすると、そこでお互いに
良くない人間関係が出来ます。
一人でいると問題がないようだけれど、
いつかは家族を持ったり
大事な人間関係をつくっていかないと
いけない時が来ます。
そういう意味では、
自分の心を正直に外に表現していくことが大切です。

それから、
バランスの悪い自分の心の持ち方にも気づき、
改められるところは改めていくという作業をしていかないと、
そのつけは必ず自分に戻ってきます。

それにしても、
自分の中から意欲が湧いてきて本当に良かったですね。
ずっとマイペースだったから。

叔母さん:
自分からそういう思いが湧くのは初めてです。
りおも望んでここに来たわけではないけれど、
やっと自分からここを選んで、
ここの良い所を吸収しようとしてくれているかなと思うと
本当に嬉しくて。。。(涙がとまりません)

いさどん:
じゃあ、これから本気になってやってみるか?

りおちゃん:
はい。

いさどん:
そうしたら、
長くここにいたって成果が上がるものでもないから、
1ヶ月、思い切り
自分の気持ちも体も絞ってみるということでやってみよう!
この1ヶ月で変身するぞ!


素直が一番!

今回のブログでは、
2月22日からうつ病のため
ケア滞在をしているまいちゃん(23歳)の
最近の様子を紹介したいと思います。
まずは、3月27日の大人会議での報告です。

まいちゃん:
お父さんがケアスタート1ヶ月の面談でここに来てから、
もう1週間が経とうとしています。
お父さんがここに来た時に
一番印象に残っている言葉は、
お母さんが「私が完璧に治る姿を見たい」
と言っていたということです。
そのことを自分の中で
ものすごくプレッシャーに感じていて、
「完璧な姿ってどんなのだろう?」って思っていました。

今は家族がバラバラなので
仲良くなったらいいなと思っているんですけれど、
それに対しても
自分が板挟みになっているような気がして
しんどくなってきました。
作業にもあまり身が入っていないし、
集中出来なくて、
色々と難しく考えてしまっている自分がいました。

でも、「これって自分の癖なのかな」と思いました。

昼ご飯の時にまり姉やいさおちゃんと話していた時、
「親の言葉は気にしなくてもいいんだよ。
自分が楽しく生活出来たら」と言ってもらえて、
「そうだな、まずは
自分が楽しく生活出来たらそれでいいんだな」と思いました。

今は色々な人に助けてもらっているし、
いつかはそれに対して
恩返し出来たらいいなと思っています。
「恩返しって何だろう?」と思ったら、
やっぱり自分が幸せになって
元気に生きていくことだと思うので、
毎日楽しく生きようと思っています。
意外に簡単に答えが出たので、
すっきりしました。

自分の癖というのも、
新しく発見出来たので良かったなと思いました。

いさどん:
そういう柔らかい発想が出来たら完璧だね。
誰かに言われても、
「けど、私には出来ません」と言うのが
こういった病気を持っている人の癖ですが、
素直に人の言うことを取り入れていていいと思います。
素直が一番!

そして今朝、
作業に行く前のいさどんとまいちゃんの会話です。

いさどん:
まいちゃん、いい顔になってきたね。
あとは抵抗力をつければ大丈夫。
世の中は、まいちゃんのことだけを
考えている人ばかりではないから。
これから卒業に向けて、
上手に人とキャッチボール出来るように練習していこう。

まいちゃん:
比較的調子はいいのだけれど、
気持ちに波があるかな。

いさどん:
僕にも波はある。
人間には波があるものだよ。
まいちゃんは自信がないから、
「社会に出てやっていけるんだろうか?」
と不安に思っているのだけれど、
明るく考えれば明るい未来を
引き寄せることが出来るからね。

でも、いい感じだね。

まいちゃん:
まだ断薬の影響で
夜も1時間おきに起きてしまうけれど、
眠くても一応朝は起きて、
作業に行こうと思っています。

いさどん:
そうやってリズムが取れてきたら、
夜はちゃんと眠れるようになる。
やっぱり苦労しないといけないよ。
苦労して築きあげていったことを
自分が記憶していれば、
リズムが狂いそうになった時に
「そうだった、そうだった」とすぐに元に戻すことが出来る。

そのためには、
苦労を味わいなさいということだよ。

まあ、順調です。