木の花ファミリーでは、
これまでに様々な人をケアのために受け入れてきました。
しかし、うつ病の61歳のお母さんと
統合失調症の36歳の息子さんのお二人を
同時にお預かりするケースは、今回が初めてです。
本来ならお一人ずつ取り組んで
良くなってもらうことが理想ではあるのですが、
今まで二人で暮らしてこられて、
自分たちでは現状をどうすることもできないということで、
お二人同時にケアスタート、ということになりました。
今回のケアのポイントは、
まず、お二人の親子関係の改善にありました。
お母さんのきっこさんお一人なら、
うつ病もすぐに治る見込みがありましたが、
息子さんのあっくんといると、
きっこさんの姿勢が
冷静ではいられなくなる傾向にありました。
残念ながら、あっくんはケアの途中で木の花を去り、
自分の力でこれからの人生を歩んでいく決断をしたのです。
そして、いつの間にか、
それを受けても冷静でいられるきっこさんがいました。
「きっこさんは、子離れという点ではもう合格だね」と
ケアの主治医であるいさどんが言うように、
これからきっこさんは、
自分の病気を治すことに専念していかれることでしょう。
今回は、ここでの生活に慣れ、
朝から農作業にも出るまで心身が回復された、
きっこさんのケア途中経過レポートを紹介します。
—
「体に導かれて」
木の花ファミリーに来て1日目。
自ら睡眠薬を止める。一晩ウツラウツラ。
2日目。意識したわけではありませんが、
自然に体が薬を拒絶し、
一切薬を飲もうとする心になれず断薬。
2日間全く眠れず、深い痛みと苦しみにのたうつ。
その間、意識の記憶とは別の次元で、
無意識の次元の記憶が飛び交い、
ああそうだったのか、という深い気付きの体験をする。
輪廻転生の流れの幾億というDNAの運びのゆき先に、
永遠の安らぎ、至福の時に導かれ、
眠りにつく喜びの体験。こ
の時を実感するために、無意識体験が求められたのか。
3日目。
苦しみの中、布巾たたみが
こんなにも高いハードルの労働であるかを実感。
重度障害者、認知症の方々の気持ちを追感。
夕方、おフロを幼児グループの子どもたちに
ご本を読み聴かせながら待っている間に、
幼児のねだる本が金のがちょうであることを見るうちに、
フと小学校2年の時に聴きおぼえた、
ミュージカル金のがちょうの歌がとび出し、
たのしい、たのしい体験をする。
その中で夕食時、顔が少しあがり、
みなの姿をキャッチし、
そのうち、10年間うつ病にとらわれ苦しんでいた自分が、
あまりにこっけいに感じ、一人思い出し笑いがとまらない。
狂者の気味悪い思い出し笑いか。
笑い、この楽しみをここに来る前の晩、
あっくんと1晩以上笑いころげ、
植物状態でなくなった母へのとらわれが一挙に解消。
この一時の気付きがなぜおこったのか知らず。
大事な問題をクリアしてのファミリーへの参加であったが、
ここにおいても一挙の気付き体験。
ファミリーのみなさんの笑顔の中で喜びの体験。
翌日かその次か、長男の車で朝6時半、
木の花ファミリーを立ち、つくば市に向けて走る。
その中、3~4時間、1人で話し続け、
多少の話が飛ぶのを長男に指摘されながらも、
クリアな意識で楽しい楽しいドライブ。
しかし、午後3時から3時間の間、どん底におちいる。
自分の名前を書くことも、目をあけることもあまりに辛く、
しかし、その中、多くの書類に自筆で名前を書きつづける。
そしてまた意識があがり、長男とおいしい中華料理を食する。
夜12時すぎまで私一人のおしゃべりが続く。
こんなハイテンションのことばのほとばしりにただただ驚く。
その中簡単な算数に全く困惑する現実がのぞき、
ああそうなのだと納得。
次の朝、体が自然に動き、もみほぐりの体験をする。
夜、あっくんの旅立ちを見送る。
オレ、ハードロッカーになる最後のチャンスにかける。
あっくんの言葉と涙をたたえた瞳。
私のクリスタルチルドレン、はばたけ。
この世の見納めかもと思いつつ、グッドバイ。
また会おうね。あっくん。
いっくんの弟、あっくん。
ママは立ち直るからね。
—
いさどんより:
社会的にも高い地位で、
母親と両立されてこられたきっこさん。
健康を取り戻して、子離れ親離れを機会に、
あなたの高い能力を社会のためにも家族のためにも、
活かしていってほしいものです。
何よりもあなたのために、あなたらしく!!