僕の中に、
「おやじの館」のイメージというのがあってね。
洞窟があって、その奥へ入っていくと、
ずっといくつか部屋があって、
一番の奥の奥に、おやじがいる。
そこで、何をしているかと言ったら、
にやっと笑っているだけ。
人々はそこへ入ってきて、
その人流に、
玄関まで来て帰っていく人もいれば、
次の部屋まで来て帰っていく人もいれば、
だんだんだんだん慣れてきて、
一番奥まで来て、
その「にやっ」に出会って帰っていく人もいる。
玄関にだけ来て、
一番奥のおやじの姿を見ないで帰っていく人もいる。
そういう場所。
今でも、僕に出会わないで、
「ありがとう」と言って帰っていく人もいれば、
仮に僕と出会ったところで、
表面的な話をして帰っていく人もいる。
深い人間性を垣間見て帰る人もいる。
それは、
おやじを観たのではなくて、
あなたを観ていくことですね。