ある日のこと。
ここを訪れた方から、
「おやじの館って何ですか?
おやじが沢山いるんですか(笑)?」
と質問されたいさどんはこんな話をしました。
いさどん:
僕は5月で59歳になり、
来年は60歳になります。
僕の人生は20年単位で変わり、
20歳の時に社会に出て一般社会の中で生活をしました。
40歳で建築内装業の会社をやめ、
今のような生活が始まりました。
そして、60歳から新しい人生が始まります。
これから何をするのかといったら、
自殺者をなくす活動をしようと思っています。
今ここで行われているケアの延長なのですが、
自殺者をなくすための家が「おやじの館」です。
名前はもう決まっているんです。
だから、おやじ対象の場所ではなく(笑)、
このおやじが中にいて訪れる人の相談に乗ります。
死ぬということは人生最後のセレモニーですから、
死に方を健全に全うにしないということは、
人の尊厳が失われているということです。
それを保って死を迎えることは大切なことです。
死ぬための心構えをつくる場所をつくらないといけないと思っています。
1週間前からここにケア滞在をしている64歳のちよこさんも、
来た当初は「生きているのが辛くて辛くて、
死ぬことばかり考えてしまうんです」と言っていました。
今朝も、「ああ辛い、ああ辛い」と言うものだから、
「辛ければ、無理せず薬を飲んだらいいよ」と言いました。
お昼ご飯の時に彼女に会ったら、
「ああ辛い、ああ辛い」とまた言うものだから、
「どうしたの?」と聞くと、
「薬が効かないから辛いんです」と言うんです。
そこで僕が、「薬を飲んでも飲まなくても辛いのなら、
飲むのをやめておこうよ」と言いました。
そうしたら、ちよこさんは笑っていました。
こんなふうに僕は
冗談を言ったり半分ごまかしながら、
薬をなくしていって、
正常な精神の方に語りかけ
それを引き出すということをしています。
お医者さんがなぜこういうことをやらないのかと言ったら、
そういった考えがないからです。
それに時間と手間はかかります。
手間はかかっても、
僕はこれが一番いいと思っています。
副作用もありません。
ボロボロになっている人の心を新しくつくり変えて、
新しい人生を見せてあげる「心のリフォーム」が僕の役割です。
心の問題を持っている人がここに沢山訪ねてきますが、
心がボロボロになって自殺する人たちがいるのは
とても不幸なことです。
皆が自分というものを取り戻し、
心身ともに健全になっていけば、
健全な社会が訪れます。
人々がともにつながり安心して豊かに暮らせる世界。
それが「おやじの館」のおやじの想いです。
心がボロボロではないけれど、
心がちょっと疲れてくるとき、
「おやじの館」を読み、
心のD.I.Yしてます。
「おやじの館」は心のホームセンターかも。
ありがとう。
父が元気だったら、生きていたら、いさどんに会ってほしかったなぁと思うことがあります。
結婚生活30年のうちの20年を鬱病ですごした父は、普段とても柔かく優しい性格でしたが、
時たまびっくりするぐらい頭の固くてこだわりが強くて情熱がある時があって
なんとなくこの記事をよんだらおやじの館でいさどんとそんな情熱のある父が議論している姿がうかんで
涙がでました。ありがとうございます。