どうぞウソをついてください ~ ジイジから子どもたちへ

この夏、韓国から7人の子どもたちがやって来て、約1ヶ月間を木の花ファミリーで過ごしました。彼らにとっては、毎日出会うものも聞くことも新鮮で、1ヶ月の間に様々な体験をしました。ある日、「どうしてウソをついたらいけないのか」について話してほしいというリクエストがあり、韓国と日本の子どもたちに向けて、ジイジがこんなお話をしました。


 
ジイジ:
では、まず質問です。ウソをついてはいけないと思う人!

子どもたち:
はーい!(子どもたちの約半数が手を挙げる。)

ジイジ:
じゃあ、ウソをついてもいいと思う人!

子どもたち:
はーい!!(残りの半数が手を挙げる。)

ジイジ:
さて、どっちが多いかな?ウソをついたらいけないと思う人は、きっとウソをついて叱られたことがある人だね。それから、ウソをついて困ったことがある人だね。
ジイジはね、ウソをついてもいいと思いまーす♪(子どもたち:「えっ」という顔をする。)だって、ウソをつくとどうなるかということを経験するためには、ウソをつかないとわからないでしょう?
子どもの時には、ウソをつくものです。子どもはウソつきだと思う人~!

子どもたち:
はーい!!(^O^)ノ

ジイジ:
そうだよね、子どもはウソつきだよね。じゃあ、ウソをつくとどうなる?

あやな:
怒られる。

ジイジ:
怒られる?でも、上手にウソをついたら怒られないでしょう?

あやな:
たしかに(笑)。

ジイジ:
だからね、上手にウソをつけばいいんだよ。怒られないように。

ゆうとう:
冗談なら怒られないよ。

ジイジ:
冗談はウソとは言わないよ。ウソをつくというのは、本当のことと違うことを言うことです。本当のことって、いくつあると思う?

ゆりか:
ひとつ!

ジイジ:
じゃあウソはいくつあると思う?

ひみこ:
無限!

ジイジ:
無限というか、たくさんだよね。そうすると、ウソをつく人はいろんなことを考えます。だから頭が良くなるね。そういうのを「悪だくみ」といいます。悪いことを考えるには頭をたくさん働かせないといけないから、賢くなります。
ウソをついて成功すると得した気分にならない?得した気分になる人!

子どもたち:
う~~ん。

みのり:
いや~、得というより、罪悪感がある。

ジイジ:
でも成功すると、ちょっとだけ得した気分にならない?

みのり:
まあ、ちょっとだけね。

かのこ:
罪悪感はあるけど、大人に怒られずに済んだ!っていうのはある。

ジイジ:
それをいっぱいやったら、得だよね。それでね、ウソをつくと頭が良くなるよ。だって、ウソがばれそうになったらどうする?ウソをつくと、本当のことがばれないようにする必要があるでしょう。だから本当のことがわかりそうになった時にどうする?

(「またウソをつく」「本当のことを言う」「黙る」「逃げる」などいろんな意見が出る。)

ジイジが言いたいのはね、なぜかわからないけどウソをつきたくなる時があるでしょう?そういう時には、たくさんウソをついていいんだよ。そうすると、それは本当じゃないから、後で本当のことがわかると困るでしょ?だからそれをずっと隠しておくためには、いろんなことを考えなければいけなくなって、頭が良くなる。でもね、その頭は、悪い頭だよ。それで、悪い考えが頭の中にいっぱい増えると、悪い人になるよ。

ウソをつく人というのは、まず人から信用されなくなります。(シャンリンに向かって)シャンリンはたくさんウソをついていいよ。シャンリンはウソをつくというけれど、実はシャンリンは、とてもわかりやすいウソをついています。それはウソでしょ、とわかるウソ。そういう人は、正直なウソつきです。
子どものころにウソをつくのは、ウソの練習をしています。問題なのは、ウソをついていることがわからなくなってしまうことです。自分が今ウソをついていることがわかっていれば、心のどこかに「自分はウソをついているなー」というのがあるでしょう。でも「自分はウソなんかついてない!」と本気で思っていたら、それは本当のウソつきですね。
シャンリンは、ウソをつく時に「自分はウソをついているな」ということを知っているでしょ?だからシャンリンは正直なんです。困るのは、自分がウソをついていることをわからなくなってしまうことです。

ウソをつきたい時にはウソをつけばいいんだよ。ただしその時に、「今、自分はウソをついている」ということをよくわかった上で、ウソをついてください。そうすると、後で困ったことが起きた時に、「ああ、自分がウソをついたからこうなったんだ」と気付くことができます。そうしたら、ウソをつくのをやめよう、と思うでしょう?
ウソは本当のことと違いますから、必ず後で困ったことになります。その時に、自分がウソをついたことをわかっていないと、その困ったことは自分に原因があるのではなく、人のせいだと思うようになります。これは本当に困った人です。自分がウソをついていることをちゃんとわからないまま大きくなると、ウソをついていることに気が付かないままウソをつく大人になるのです。それは心が汚れているということです。
そういうふうになっちゃいけないよ、子どもたち。わかった?

子どもたち:
はーい!!! ヽ( ≧▽≦ )ノ

ジイジ:
もうひとつ、みんなに言いたいことがあります。人は赤ちゃんで生まれてきて、大人になり、いずれ死にます。その人生の中でウソをついていくということは、本当ではないことで生きていくということです。ウソをついていると、心が悪い人になるでしょう?そうすると、人生を生きていてもいいことが起きません。人生の途中ではいいことばかりに出会ったと思っても、必ず人は生きている間に、そのウソの分だけの困ったことを受け取らないと、死んではいけないようになっています。さらに、そのままで人生を終わると、ウソつきとして人生を終わることになります。そうすると、もしも次の人生があるとしたら、今度はウソつきとして人生が始まるのです。

ジイジは昔、木の花ファミリーを始めた頃に畑で作物を作っていました。畑へ行って土を耕して、種を播いて、野菜を育てたりしていました。畑では、植物はもちろん、動物や、土や、雨や、風や、いろいろなものに出会います。そこで、人間以外のものはウソをつきません。だから自然の中で生活していると、とても心が穏やかでした。それは、疑わなくてもいいからです。
でもそこに、ジイジを訪ねていろんな人がやって来ます。そして人間が来ると、その場にウソができるのです。そういったウソをつく人間から勉強できることは、あまりありません。自然の中で畑を耕していると、例えば作物の出来が悪ければ、それは土が間違っていたり、気候が合わなかったり、どこに原因があるのかを正直に教えてくれます。たくさん収穫しようと思って肥料をたくさん入れると、作物は病気になります。自然は、いつも正直に人間のやっている間違いを教えてくれます。自然は絶対にウソをつかないのです。
だけど人間は自分に都合のいいようにものを考えるから、ウソをつきます。大人は子どもに「ウソをつくな」と言いますね。それは子どもがウソをつくからです。でも実は、大人の方がもっとウソをついています。そういった経験があるから、大人は子どもに「ウソをつくな」と言うのです。つまり、人はみんなウソつきだということです。
そこで大事なのは、自分がウソをついている時に、ウソをついていることをわかっていることです。それは、自分が間違っていることを振り返る心があるということです。

ウソをつくと、それは本当のことと違いますから、生きていると必ずその間違いの結果が自分に返ってきます。欲が深い人は、畑で種を播くと、まだ作物が育つ前からたくさん収穫することを考えます。たくさん採るためにはたくさん肥料を入れて大きくしよう!と思うのです。でもそれは、作物のことを考えていません。その人が欲をかいた分、作物は病気になって、本当のことを教えてくれるのです。
ウソも同じです。ウソをつく時には、それを言うことでいいことがあると思っています。だからウソをつくんでしょう?でもウソをつくと、必ず自分が思っていたことと反対の、都合の悪いことが起きます。そこで、ウソをつくのはよくないな、ということを学ぶのです。ということは、みんなはウソつきの練習をしているのです。そのために、そういった仕組みがあるのです。

たくさんウソをつくと、たくさん困ったことが起きるよ。ウソつきの頭をたくさん働かせると、ウソつきの人になっていきます。でもウソをつくのは、ウソつきになるためではなく、ウソをつくとどうなるかということを勉強するためにあるのです。
その時に、自分がウソをついたことがわかっていれば、すぐに勉強ができます。ああ、あのウソがこういう結果になったんだ、と。でも自分がウソをついていることがわからない状態になっている人は、困ったことが起きても人のせいにします。だから、ウソから勉強することができません。そして本当に困った人になります。ジイジはそういう大人にたくさん出会ってきました。
ですから、そういう大人にならないように、ウソをつかないのではなく、練習のためにウソをついてください。そしてウソをつけば必ず困ったことが起きますから、そこでウソをつくとこうなるんだ、ということを勉強してください。
ジイジも子どもの頃にはたくさんウソをつきました。そしてウソをつくとまずいな、ということがわかって、だんだんウソをつかなくなりました。大人は子どもに「ウソをつくな!」と言うけれど、子どもの時にウソをついていないと大人になってからウソをつきますね。それは本当に困った人になりますから、小さいうちに練習としてたくさんウソをついてください。そしてたくさん困ってください。そしてどうして困ったのかといったら、自分がウソをついたからだということに気付いてください。そうしたらきっと、ウソをつかない人になるでしょう。

きよみ:
ウソついていいよって言われたら、ウソつく気がなくなる。

ゆうとう:
大人は「怒らないから正直に言いなさい」と言いながら、本当のことを言うと怒るよ。

みのり:
それ、めっちゃあるー!

ジイジ:
それでは、ウソをつく時には、正直にウソをついてください。そしてできれば、相手の人にもわかるようにウソをついてください。そうしたら相手の人は「ああ、ウソをついているな」と言って認めてくれるかもしれません。

人間以外のものはウソをつかないのに、人間はウソをつきます。ということは、人間が生きていると問題が起こるということです。
例えば、(スマホをいじっているイェヨンを見ながら)スマホは優れた機械ですね。でも人が話している時にそれをいじっていたら、相手の話を聞いていないことになります。場合によってはそれがないと眠れなくなったり、歩きながら使っていて人や車にぶつかったりもします。何でもそうですが、その人の考え方や使い方によって、いいものにもなれば悪いものにもなるのです。
でも本当はこういうことのために使うんだよ、という正しい使い方があります。人間はいろんなふうにものを考えて、いろいろな使い方をしますが、どんなものであっても、正しい使い方をしなければ、すべて悪いことになって返ってくるということです。そういった正しい人生の生き方や物の使い方を勉強するために、みんなは生きているのです。いっぱいウソをついても、それをしっかりと学んで、どうしたらいいかをわかる人になりましょう。

以上、ジイジのウソつき講座でした♪

 

 


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