ヤマギシ会からの紹介でお母さん、お姉さんと一緒にファミリーを訪れたけいくん。仕事から来るストレスで3年前に統合失調症だと診断され、いさどんに相談をするためにファミリーを訪れました。2泊3日の滞在後、「一度家に帰りますが、またケア滞在をしに戻ってきます」と言って、ここを出発しました。
それから数日後、けいくんからファミリー宛てにメールが届きました。今回のブログではその彼からのメールを紹介したいと思います。
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いさどん、皆さん、先日は二泊三日でお世話になりました。二泊三日は本当に色々感じる事ができました。自分は周りの声に流されるまま、母や姉に連れられ木の花ファミリーにやって来ました。最初にケアに当たっての必要事項を紙に書き、いさどんと面談、何故、病気になったかを説明。いさどんは笑顔で聞いてくれましたね。
病気と感じた時の自分は仕事、借金、周りに理解されない苦しさから涙が止まらず、頭がぼーっとして自分で自分を責める声に苦しいと感じて病院に助けを求めました。病院の出す薬に頼り、楽になりたくて処方される薬を飲んでいました。睡眠薬…寝るための手段。安定剤数々…楽になりたいという欲望の数。本当にそうでした。今、こんなに苦しいのに、いさどんに伝わらないと感じていました。
次にいさどんは紙に従い学歴を聞いてきました。高校中退です。学生当時を振り返り、正直、勉強が好きな子供ではありませんでした。親、先生に怒られるのが恐くて学校の授業に行っていました。学業終えた今でも学校行くことって何かわかりません。流されるまま無理やり勉強して入った高校は苦痛に感じて、よくサボっていました。家にいても怒られるからゲーセンや公園でサボっていました。
高校は義務教育ではありません。出席日数というものが存在して日数が足りずに留年…。高校だけは出なきゃいけないという固定観念から退学ではなく、もう一度、高校に行くことに…。留年=格好悪いという観念に囚われ、行かない日々に戻り、出席日数が足りずと部活の人間関係のトラブルで何も考えたりしたくないと思い、退学を選択して一度目の引きこもり生活に入ります。何も考えたくありませんでした。
こんな自分に業を煮やした父にどやされ、渋々仕事をしました。寮付きのパチンコ屋から始まりました。お客さんや上司、先輩にとやかく言われるのが苦痛で、当時できた彼女のもとに逃げ場を求めました。彼女と遊ぶためにお金は必要だったから仕事をするも、他の人にとやかく言われるのが苦痛ですぐ辞めるということを繰り返していました。
半生を語ると長くなりそうなのでまたの機会にしておきますが、自分は他人の言葉に感受性が強いのと他人と比べられるのが苦手な子供でした。そのせいか、集団生活、学校や会社は苦手でした。それをいさどんは笑い飛ばしながらこれからどうするか?を語ってくれましたね。
話が進まないと思ったのと、逃げると格好悪いという固定観念から、いさどんのさしのべる手を受けました。また、ヤマギシ会が薦める木の花ファミリーはどんなところだろう?という興味もありました。事前に調べて聞いた内容は静岡で農業を生業にして、自然食、主に野菜中心の食事。自分みたいな心の病を持った方にケアもしている団体さん。
どんな人がいるのか?お風呂で一緒になった方にお話を聞いてみました。自分と同じ年で農作業を生業としているファミリーさん。ケアで一度来ていて今回が2度目の滞在。今回は1ヶ月半ぐらいいるとのことでした。自分もケアで長期滞在になるかもしれないので、ここの生活が辛くないか聞いてみました。「辛いと言われれば辛いけど、外の世界に辛さがないとは限らない。」彼の言葉はこの時点では辛いとしか捉える事ができませんでした。
次はファミリー全体の協議〈大人会議〉へ参加しました。みんなで円になるヤマギシの研鑽とは違い、各自ボードや挙手で今日の報告をしあっているようでした。お風呂に入っていて途中参加だったため、何を話しているかは理解できませんでした。元メンバーの人からのメールなのでしょうか?木の花ファミリーから脱退した人から来た手紙でした。内容を簡潔にいうと「いさどんやメンバーさんたちとは合いません。さようなら」というメールでした。ここの環境が合わない人もいるんだ。人間十人十色、いても当たり前なのですが、この段階では嫌で逃げ出す人もいるのだと尻込みしました。このメールを聞いてみんな思うところはあるのでしょうね…。それを悟ってか、いさどんは口を開きました。何を話していたかは思い出せませんが、伝えている姿は優しく感じました。
協議の最後にみんなで立って円になり、手を繋ぎ、意識合わせ。自分の為に説明してくれました。天から光が降りて来るイメージでお祈り。静かな中に鐘がなり響き、目を瞑り黙祷…。頭の中であれこれよぎり、天から光が降りて来るイメージは全然できませんでした。でも、円になり手を繋ぐのは一体感があっていいな~と思いました。
そのまま残っていると、いさどんが自分と同じ病気だと診断され苦しんだ経験を持つゆうちゃんを紹介してくれました。彼女は人格分裂、幻聴、幻触と自分と比べると症状が辛そうに感じました。ここの環境で心のケアをして、今は長期滞在をしている彼女。ここにはそれだけの魅力があるのかもしれませんが、来たばかりの自分には理解できませんでした。
とりあえず二泊三日で来た自分、明日から何をすればいいかがわかりません。聞いてもここのシステムは一週間自由とのことでした。1日目はこんな感じで過ぎました。
二日目です。朝御飯は七時半から用意できると言ってくださったのに、昨夜飲んだ睡眠薬が効いたせいなのでしょうか?起きれませんでした。今回、姉は農業体験も予約しているものだと思っていたので、農業を辛そうと思い込んでる自分は行きたくなかったのです。結果だけでいえば農業体験は予約しておらず、することはなかったのですが、誰かが呼びに来るまで布団に逃げました。布団の中で横になっていたら忘れていた過去の自分がいっぱい頭の中によぎってきました。ここでは集団生活をやらされる…。嫌だ。自分は小さな時から集団生活が苦手でした。したくないことをやらされる事が多かったからです。嫌だ嫌だばかり頭によぎってました。でも、嫌だといっても逃げる事も選べません。選ぶ勇気もありませんでした。
布団の中に全力で逃げることを選びましたが、トイレに、ご飯に、いつかは起きなければなりません。トイレで起きましたが、周りを見渡せば掃除中ですぐ戻りました。「掃除しなきゃいけないのかな?やだな…。」世の中はやりたくないことだらけ…。何故やらなければいけないのか?が根本的にわかっていない自分を再確認しました。
掃除が終わるのを見計らい出てきてみました。そうするとご飯が始まっていました。自分の分もあるということなので頂く事にしました。バイキングスタイルで好きなもの頂けるスタイルは食べるものに対しても好き嫌いが多い自分には嬉しかったです。少食ですますこともできますしね!お腹が空いているせいでしょうか?本当に美味しいからかもしれませんが、食事は美味しく感じました。でも、集団は苦手…。誰かに話しかけられないように、ついていたテレビに夢中のふりをしていました。
お皿をパンで拭くのは教えられた時、ビックリしました。多分洗剤を使わず水洗いをするせいなのでしょうか?洗う人の事を考えたシステムなのでしょうね!
食べた後、やることも見つからないので散歩がてら畑を探してみることにしました。探した範囲では木の花ファミリーの畑は見つかりませんでした。ちょっと見てみたかったです。結果的にいえば次の日に見ることができました。
部屋に戻り布団の中で考え事をしていると、昨日日帰りで帰った母と姉が来ていました。行ってみると、姉と母はいさどんと面談していました。自分の事を話しに来たというよりは、姉自身のことを話しに来ているようでした。昨日いさどんと接して思うところがあったのでしょうね…。姉の悩み相談になっていました。なんで自分の話じゃないのだろう?とも思いました。自分の話にも少しなりましたが、話を終えて母と姉が去った時は本格的に自分の事から逃げられないとも思いました。
部屋や布団に逃げ場を求めて部屋にいました。明日に帰ると言ったから明日までの我慢。そう思うと少し気が楽になりました。部屋でそのまま休んでいると、明日、農業見学ができると呼びかけがあったので、興味もあったし参加を決意。その後、いさどんのプレゼンテーションもあると言われてこちらも参加を決意。気が楽になったといっても集団は苦手です。お風呂、ご飯と共に誰にも話しかけずにいました。
興味はあったから協議には参加しました。協議で「ゲストの皆さんも質問があればしてください」と言われました。問題点に対し、各々が意見を言い合う姿やスタイルは共感が持てました。菊いもについてどんないもなのか?疑問を聞けなかった自分に後悔です。
明日は七時半と早いので早めに寝ることを決意。睡眠薬を飲んで早々に寝ました。今思えば、木の花ファミリーのこと知りたいと思った自分に対しては勿体ない1日でした。でも、布団の中で半生を振り返れた貴重な1日でもありました。
三日目。七時半目覚ましにて起床。着替えて集合場所の玄関へ向かいました。説明してくれる係のお兄さんのもと、車移動。だから昨日の徒歩範囲には木の花ファミリーの畑は見つからなかったのだと納得。最初に見たのは蜂、蜂蜜だけではなく作物の受粉用にも使える。地下貯蔵庫もある。元気に飼育している鶏。白菜畑は虫が食べる部分と人間が食べる部分のお話、だから無農薬でやっている理由がわかりました。山羊の乳はちゃんと育てれば人間の乳に近くなる。匂わないリサイクルトイレ。知らないことばかりだったのでこの出会いは感動しました。
帰っていさどんのプレゼンテーション。ここができるまでの説明、画像を使い、経験、富士山で感じたことを天から降って来たと表現した事、宗教くさくも感じましたがいい表現だな~と感じました。もしかしたらこういう感じ方も天から降って来たのかも知れないと感じました。それから富士山の麓で環境を整えていった話を聞いて少し欲が出てきました。自分も今ある環境を整えてみたい。今ある環境で自分を変えてみたい。そのために何ができるか?そんな事ばかりが頭をよぎっていました。
一番感銘受けて影響を受けた言葉は、「かがみ(鏡)のが(我)を抜けば、人はかみ(神)になる。」自分は小さい頃、神様になりたかった…。色んな人を導きたかった…。あの言葉を聞いたら今からでも神になれるんじゃないかな?と思えました。本当に我が抜けたように感じました。
農場見学とプレゼンテーションが終わった後は、いさどんが仲間たちと作った環境が素晴らしかったということもあり、感激していました。
そしてそのままコンサートへ。歌い手のファミリーさん、うまかった。歌詞も木の花ファミリーの主旨にぴったりで共感を覚える歌詞でした。手拍子を求められた時、リズム音痴の自分にはずれてくるから辛かったです。ゲストも含めて円になりみんなで歌った時は、気がつけば音痴なりに歌詞を見ながら一緒に歌っていました。楽しかったです。最後は円のまま、手を繋ぎ天から光が降りてくるイメージでお祈り…。できたような気がしました。手を繋ぐ体温とともに円は温かかったです。
部屋に戻り、初日の面談の時いさどんが言ってくれた言葉を思い出していました。「三割は助けたる。七割は自分で頑張れ。」七割と言わず十割頑張れそうな気がする。
「私も冬なのに蝉の鳴き声がする。」いさどんは病気なのかもしれませんが病気だと思っていませんね。本当は自分も病気じゃないのかもしれない。何をもって病気とするか?自分の出した結論はこうでした。病気と感じ医者に頼った瞬間からだ。そう思うと震えるこの体も個性なんじゃないかな?と思えてきました。本当に自分でやれそうな気がする。だんだんそう思えてきました。
今一つ根拠はないし自信はありませんでした。自信が確信に変わったのは、帰る時間まで読んでいた、ケアで長期滞在で来ていた人の体験記を読んでからでした。受験に失敗して挫折感を味わい、うつになって薬を飲んで治療しようとしても治らず、いさどんのもとへ頼り、立ち直っていく少年の話でした。木の花ファミリーのケア方針で一週間は自由。その間に少年は薬断ちをしました。帰っても暇人な自分は、これなら木の花ファミリーに頼らなくてもできそうな気がする。少年は一ヶ月で帰りました。ケア滞在期間で三ヶ月もここにいる必要はないことが判明。色々気づいた今の自分なら、三ヶ月もかからず行けるんじゃないか?根拠のない自信にもかられました。
読み終わった頃には帰る時間。この事をいさどんに伝える時間はなく帰り、今になりました。
今、時間はたっぷりありますし、まずは自分でやれるところまでやってみます。それで駄目でしたら皆さんのお力をお貸しください。3日間は本当に貴重な体験でした。色々気づけてよかったです。長文乱文ですが失礼します。
追伸…数日たった現在、薬に頼らず生活しています。寝られないといったら寝られないのですが、別に寝なくてもいいかな?という感じでいます。目と体は休めているから問題はなさそうです。未だに震える体も個性と感じれば全然気になりません。