自分の中から湧き出る思いがあれば

1月6日から心と体の体質改善のため
ケア滞在中の19歳のりおちゃんが、
ここに来てからもうすぐで丸3ヶ月になります。
滞在前3ヶ月で20kg増えた体重を元に戻し、
とりあえず二桁まで体重をもっていくということも、
ケアの目的の一つでした。
最初の2ヶ月間は
順調に1ヶ月10kgペースで体重も減っていましが、
3ヶ月目に入ってからは横ばい状態でした。
そんなりおちゃんと、同居している叔母さんといさどんの
3ヶ月面談の様子を今回は紹介したい思います。

いさどん:
りおちゃんの場合、
今のところ何かが問題というよりも、
生活の規律を整えていくことが大切なのですが、
この人はマイペースで、積極的に取り組んでいこう
という意欲がなかなか見られません。
体重についても、
そんなに食が進む方ではないと思うのですが、
その割には体重も落ちていきません。
ただ、無理やり減らしていくというのも問題ですから、
体を動かしながらバランスのいい生活の中で
体重が落ちていくというのが理想です。

小学校の低学年くらいまでの食が
こういった体質に影響します。
しかし、実際にそうだからと言って、
バランスのいい体にならないというわけではありません。

りおちゃんの気持ちとして、
自分を前に押していくというのが
なかなか見られないですね。
だからと言って、
「こうしたらいいよ、ああしたらいいよ」と
まわりの人が伝えても、
この人の中には自分の意志でやっていきたい
といった思いがあります。
もうちょっと積極的に取り組んでいかないと、
これ以上ここにいてもなかなか成果は上がらないです。

当初、体重が20kg減ったことに関しては
何とかなったにしても、
それ以上のこととなると、
よほど本人が自分の生活スタイルなど
色々なことに対して自覚して取り組まないと難しいです、
という話は前回の面談の時にしました。

外で積極的に農作業をやろうとしても、
やはり体力を使う仕事となると、
それなりの体が出来ていないと難しいんですよね。
だから、どうしても軽作業ということになってしまい、
今のところこれ以上の成果は
なかなか望めないという状況です。

とりあえず、4月5日で丸3ヶ月です。
前回、「これからどうするの?」と聞いたら、
「4月5日でここの滞在に区切りをつけて、
半年くらい叔母さんのところにいて、
10月から大阪へ行って友達と一緒に住む。
それまでの半年間は
アルバイトでも見つけて仕事をする」と言っていました。

りおちゃんは幼い時に両親がいなくなり、
小さい頃から孤独だったからなのか、
自分の考えで何でも進めていき、
まわりの考えを聞いてそれに合わせていく
ということがあまりありません。
自分のやりたいこと以外のことはやりたくない
という傾向は見られると思います。

でも、自分のやりたいことをやった結果、
今の状態になっているのですから、
自分がやるにしても自分の健康体を保て
規律ある生活リズムを身につけていくことが必要です。
その意味がりおちゃんには
まだよくわかっていないのかなと感じています。

今後どうしていくのがいいのか、
ご家族の方と一緒に話し合ってみようということで、
今日はお越しいただきました。
前回りおちゃんと話した時には、
「作業でも何でも前向きにやってみようよ」
と声はかけたので、一応はやっているんだよね。

りおちゃん:
午前と午後両方とも
作業に出るようにしています。
実は、あの後一人で考えたり、
ファミリーの人たちと話をしていく中で色々と考えました。
大阪に行くのは変えない。
それは自分で決めたことだし、
友達にももう言ってあるし、
どうしても一緒に住みたいからそれは変えない。
でも、この間いさどんと話をした時に、
「大阪に行くまで半年もあるね」って言われたから、
半年をちょっと削って、
もうちょっとここで皆と一緒に作業をしたいなと思いました。

だから、自分の性格が変わるまでもうちょっとここにいようかな、
と色々な人と話をして思ったんです。

いさどん:
自分で思ったの?

りおちゃん:
はい。

いさどん:
そうやって自分の中から湧き出てこないとね。
ただ言われているだけでは、
ここにいても成果は出ません。
やはり自分で自分に負荷をかけていかないと。
「こうしたらどう?ああしたらどう?」と人から言われても、
自分の中で「そうだね」と思う心があってやるのと、
ただ言われてやっているのでは
成果が全く違います。

今初めて、その話を聞きました。

りおちゃん:
ちなっぴとよく同じ作業になって、
色々話をしてくれて。

いさどん:
ちなっぴも昔は体重が多かったけれど、
ある時からすごいエネルギーで
自分に負荷をかけるようにして、
今はバランスの良い人になりました。
ちなっぴは思い立ったらどこまでもやりきる人です。
りおちゃんは頑固者ですが、
良く言えば自分が思ったらやりきれる人なのだから、
そのくらいの気持ちでやれればいいね。

これから大阪に行って仕事をしていくにしても、
まわりの評価によって自分が表わされていくわけだから。
しっかり規律を持って生きていくということが、
生きる上での大切なポイントです。
そこのところに気づいていかないと。

今、話を聞いてみてどうですか?

叔母さん:
今、「もうちょっとここで頑張ってみたい」
と自分から言ってくれてすごく嬉しかったんです。
もし、ここにいるのが嫌になっているのだったら、
今日にでも連れて帰ろうかと思っていました。
ここにとっても迷惑になるだけでしょうし。

私がここを選んだのは、
りおの体が痩せて
細胞を活性化させていくということもそうなんですが、
ここには色々な人たちがいるので、
若い時に3ヶ月であっても、
そういう貴重な出会いを経験すれば
いずれは役に立ってくれるんじゃないかと思ったからなんです。

農作業は自分がやりたい
と思ったことではないかもしれない。
でも、規則ある生活を身につけるとともに、
自然からも作業からも人からも得られるものを得て、
自分が今いる環境を
積極的に活かしてほしいという思いがあったんですね。

そうは言っても、
本人が気づかないとダメですよね。
本人に気づいてほしいとずっと思っていたのですが、
今のりおの言葉を聞いて、
ようやくそうなってきたのかなと。
今、滞在予定の3ヶ月が終わりに近づいていますが、
今から短くても
そういう信頼のある交流があるといいと思います。

やっぱり、りおは小さい頃から孤独だったんだと思います。
心から安心して信頼出来る関係をまだ持てていないし、
自分をさらけ出していくことをしてこなかったんだと思います。

私たちは、りおが自立するまで
見守って応援していきたい気持ちはあるので、
本人に「ここでもうちょっと学びたい」
という気持ちあるのであれば、
ぜひお願いしたいと思います。
心からそう思っているのであれば
本当に素晴らしいことだと思うし。。。(涙があふれてきます)

いさどん:
この間話した時は、
「このままにしておくと、
洞窟にこもっている熊みたいな生活が変わらないから、
そろそろはっぱをかけないといけないのかな」と思っていました。
その時は人に言われてむっとした感じだったので、
「怒っているの?」と聞いたら、
「怒っていません」と言うのだけれど、
そういうふうに見えたんだよね。

最終的には、自分のことだから
自分のことは自分で出来るようにならないといけません。
ここにいても
いつかは旅立っていく時が来るのだから。
もし、りおちゃんにここで
もうちょっと頑張ってみる気があるのなら、
真剣に取り組んだらいいよね。

親子関係が難しいから、
友達にしか本当のことを言えないという人がいますが、
この人は本当の心を表現する関係を
築いてこなかったように思えます。
自分のことは自分でやっていくということは、
ある意味では強い意志なのかもしれないのですが、
ある意味ではなかなか人の言うことを
採用できないということになります。
言われると壁をつくってしまうようなところがあるのかなと、
このところ特に思っていました。

そういう意味では、
ここでも今までお世話になっていた
叔母さんたちにもそうですけれど、
そういう人にこそ自分の心を開き、
柔らかい人間関係をつくっていくことが大切です。
人間関係には縁の切れる人間関係と、
絶対縁の切れない人間関係があります。
そういうものを大事にしていかないといけません。

叔母さん:
この子は反発すると結構きついんですけれど、
相手がいさどんなら大丈夫ですね。
いさどん自身がむかつくこともないだろうと
安心していたんです(笑)

いさどん:
こちらには何もありませんね(笑)。
ただ、他の人であれば
自分の感情を露わにする人もいますが、
実はそのくらい本当を出してもいいんです。
りおちゃんは自分という中に入ってしまっています。
本当の気持ちをもっと出すといいんです。

僕らとしては何があっても、
この人が「良い人生を生きてよかったね」
と思えるような人生を
これから歩んでくれればそれでいいんです。
それが目的ですから。

叔母さん:
本当にそうですよね。

いさどん:
自分にとっては良いことであっても、
相手との関係においては
自分にとって良いことが
相手にとっても良いこととは限りません。
そうすると、そこでお互いに
良くない人間関係が出来ます。
一人でいると問題がないようだけれど、
いつかは家族を持ったり
大事な人間関係をつくっていかないと
いけない時が来ます。
そういう意味では、
自分の心を正直に外に表現していくことが大切です。

それから、
バランスの悪い自分の心の持ち方にも気づき、
改められるところは改めていくという作業をしていかないと、
そのつけは必ず自分に戻ってきます。

それにしても、
自分の中から意欲が湧いてきて本当に良かったですね。
ずっとマイペースだったから。

叔母さん:
自分からそういう思いが湧くのは初めてです。
りおも望んでここに来たわけではないけれど、
やっと自分からここを選んで、
ここの良い所を吸収しようとしてくれているかなと思うと
本当に嬉しくて。。。(涙がとまりません)

いさどん:
じゃあ、これから本気になってやってみるか?

りおちゃん:
はい。

いさどん:
そうしたら、
長くここにいたって成果が上がるものでもないから、
1ヶ月、思い切り
自分の気持ちも体も絞ってみるということでやってみよう!
この1ヶ月で変身するぞ!


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