子は親の鏡~面談・後編

いさどん:
それで、今回はどういう目的で来たのかな?
とりあえず、これからどういう方向に行けばいいのかという相談なのかな?

きーちゃん:
パパは「きーちゃんの食生活を直すためにここで合宿してきなさい」と言っている。
でも私は、食生活だけじゃなくて、
パパも含めて自分も変わりたいし、家族も良くしたい。

いさどん:
要は、最後はそこへ持っていきたいわけだ。

きーちゃん:
今、私が治っても、家族の環境とかでまた戻ってしまうかもしれないから。

いさどん:
あなたの言う通りだね(笑)。
発信源が別にあるのだから、子供だけを治しても仕方がないんだよね。
「子は親の鏡」と言って、親の状態が子供に出ています。
まあ、ずばりと言ってくれてすごい!将来楽しみだ。

今はこういう状態で少し心配かもしれないけれど、将来は大丈夫!
希望を持っていいよ。いさどんが言うんだから、間違いない!
そこらへんは自信をつけておくといい。
今のところは役割でやっているのだから。これは良い話になっていくね。

ちょっと聞いてほしいのは、きーちゃん一人だけを観た時に、ちょっと今は病的だよね。
だから、これは健康にしたい。
それと、この家族の関係がちょっと問題だよね。これも健全にしたい。

家族の関係を健全にすることによって、きーちゃんの心が安定して健康になるのを優先するのか、
それとも、まずはきーちゃんが健康になって、それをきっかけにし、
みんなで家族を健康にするための話し合いをしていくのか。
両方をいっぺんに健全にするという方法もあるけれど、
どういう方法をとったらいいと思う?

きーちゃん:
今の家族のままでいるのが辛い。
だから、家族の状況を良くするためにみんなで話し合いをしたい。

いさどん:
どんな話し合いにしたらいいと思う?話の内容については何かあるのかな?

きーちゃん:
家族だけじゃなくて、客観視出来る人がいたらいいと思う。

いさどん:
僕も今それを思っていたんだよ。
まずは家族会議をする必要がありますね。
その結果、この子はここにケア滞在をしに来なくてもいいかもしれない。
ということは、僕が出張しないといけないのかな(笑)。
この子の言っていることは正解ですよ。
あなたは将来、困っている人の問題解決のアドバイスが出来るよ。

きーちゃん:
私が思っていることをパパに言うと、パパは自分の言っていることと違うから、
「それは違う。お父さんの言っていることが正しい」って。

いさどん:
そこのところは、第3者がいないとお父さんは受け取れないね。

きーちゃん:
パパもママも年下から言われると、いらっとするみたい。
私が言うことを聞かないし。

いさどん:
きーちゃんの目線はしっかりしていますね。
「言うことを聞かない」という言葉でわかりますが、
お父さんには自分の考えでみんなをリードしたいという心が働いているから、
そういうふうに言うわけです。
自分の考えが通らないと、「僕の言うことを聞かない」ということになって、
物事がまとまらなくなるのです。

それを伝える人がいないということですね。
そうすると、その役割が出来る人は僕しかいないから、
今日お父さんに話をして、家族会議に参加するために出張することにしますか!

きーちゃん:
今日帰る時に、いさどんを連れていっちゃう!

いさどん:
はっはっは。すごいね。
初のケースです。僕は今まで相談で出張したことはないから。
新しい取り組みが来ましたね。
ではお父さんが来たら、なぜそういうことが必要なのか、経緯を話して、
いつ家族会議をするか模索してみましょうか。

そうやって家族会議を開くと、新しい風が入ります。
まずは、お父さんの家系の影響を考えないといけないですね。

きーちゃん:
今日は、初めて私の話を聞いてくれる人に出会いました。

いさどん:
僕は、人の本当を観る人だから(笑)。
これからも当てにしていいんだよ。
きーちゃんの鋭い洞察力も将来人のために活かせるようになるといいね。

ただ、人のためになれるのは大切なことだけれど、
自分が自分のことで不健康だったらダメだからね。
自分が健康を保てて、それで初めて人のためになれるのだから。
今まではまわりの環境が負担になって具合が悪かったかもしれないけれど、
これからはそれを自覚しないとダメだよ。

「人が悪いから」と人の影響を受けて具合が悪くなっていたら、見本にならないでしょ。
人のためになれる人というのは、
心も体もみんなの見本になれるような状態でいなければいけないからね。
今までは子供だったからまわりの影響を受けていたけれど、
これからは自覚してやっていくことが大切だね。

きーちゃん:
最初は、友達を助けたことで、自分が仲間外れをされるようになった。
最初は何でだろう?と思ったけれど、
今は大事なことをしたんだからと思っている。

いさどん:
それが大切だよ。
そういうふうに健康に自分を保っていられて初めて、人のためになれる。
苦手なことも、そういう心が出来ると克服していくことが出来る。
将来に対するイメージが出来てきたね。楽しみだ!

将来、人の心の問題にアドバイスする道を歩み、
わからないことがあったら、いつでもいさどんに聞けば教えてあげるから。

いさどんは、これからずっとここにいるわけではないんだよ。
自分を必要とする色々な人のところにまわっていくからね。

お父さんが来たらそういう話をしましょう。
僕のイメージとしては、家族会議に僕がオブザーバーで参加し、
ちょっと風通しを良くしたら、きーちゃんは元気になる可能性はありますね。

でも、今の状態が現実に起きてしまっているから、
そのための回復期間としてここが必要かもしれないよ。
必要なければそのままでもいいけどね。
ただ、昼夜逆転の生活やスナック菓子等の摂り過ぎによる偏った食生活は、
考えが変わったらといって、さっと切り替えられるかどうかわかりませんね。
その時は合宿が必要になるかもしれません。

それで、短期間ここに来て健全な生活リズムと食生活を取り戻し、
心が健全になり、家族の環境が戻れば将来は明るいでしょう。
これからは、あなたがこの家族をリードしていけるかもね。

お母さんもお父さんも二人でもう少し話し合う必要がありますが、
今は二人の関係も含めて、
この5人の家族が今後どうしていったらいいのか、
自分の側から捉えるだけではなく、
全体の意見を聞きながら話し合っていく必要がありますね。そうしましょう!

それにしても、僕は特別な能力を与えられているから、
出会ったことのない人の心の形も観える。
それをいつか誰かに与えないといけないと思っていた。
僕はこれを与える人に出会うのを待っていた。
きーちゃんにあげてもいいよ(笑)。

あとは、お父さんが来てから話をしましょう。
結論は、お父さんが来てからじゃないと出せないからね。
先に決めてしまうと相手を無視することになり、それもまた問題だからね。

(ここで、お父さんがお迎えにいらっしゃり、面談に加わりました。)

きーちゃん:
私の問題が解決したら、
次はパパとママが順番にここに合宿に来たらいいよ。

いさどん:
(お父さんに向かって)はっはっは(笑)。それは画期的な意見だ。
今日はお母さんときーちゃんから色々とお話を聞きました。
僕ときーちゃんの見解は一致していました。

家族というのは心のハーモニーの表現の場です。
それぞれが個性的な音を出すのは良いことですが、
それが人との和音になっていないと、なかなか良い音楽にはなりません。

当初は、きーちゃんの問題として聞いていたのですが、
どうもこの人の言っていることの方が筋が通っているのではとも感じました。
きーちゃんの話をたどっていくと、
きっかけは中学の時のいじめだったものの、
その背景はいじめという表面的なことだけではないと思えます。

いじめは、いじめる側、いじめられる側の空気や性格的なものが原因しています。
自分を主張していじめられる人もいれば、
出さないからいじめられる人もいて、色々な原因が考えられます。

そういうことからすると、
問題は相手にあるばかりではなく、こちら側にもあるのです。
そうすると、きーちゃんがいじめられる要因を持っていたとして、
それがきーちゃんだけの問題なのかと考えると、
人は自分のまわりの環境を反映しているわけですから。

この人が表現していた空気は、家庭内の状態を反映していたということでもあります。
今お母さんとも色々と話をしていった結果、
原因はお父さんとお母さんの不協和音ということに行き着きました。
それが一番敏感なきーちゃんに問題として現れたのだと捉えています。

この子は本当によくものを捉えていると思うのですが、
それを本人が言うと、お父さんは「子供が言うことだから」と
大人のルールで抑えてしまっています。
人はエネルギーを消化して生きています。
そのエネルギーの出口が封印されると、中に溜まってしまう状態になります。
それが違う形で出てくることになります。
病気や心の問題などです。

では、エネルギーを封印せず
本人の意志を認めてあげればよかったのかといったら、
それが出来なかったまわりの環境もあるということです。
物事は順番につながっているので、
「自分たちはどういう世界を今までつくってきたのか。
その結果が今の現象を起こしているとしたら、
どういうふうに解決したらいいのかを話し合ったらいいんじゃない?」
ときーちゃんが表現しているのだと思います。

「じゃあ、みんなで話し合ったら?」と言うと、
きーちゃんは「家族だけで話し合っても、
そこでは上手に話し合いがもたれないだろうから、
第3者がいたら良いと思う」と言うんですね。
「それもそうだね、画期的だね」ということで、
「第3者は誰がいいんだろう?」と聞くと、「いさどんがいい!」と言うんですよ(笑)。

今までこういったケースで出張をしたことはないのですが、
ここに家族5人が一緒に来るのはなかなか難しいと思いますから、
僕がお家まで出張しましょうかと思いました。

そうしたら、きーちゃんの気持ちが急に軽くなってきました。

「子は親の鏡」ですから、
子供を連れてきて「具合が悪いからよろしくお願いします」と言う親御さんがいますが、
その場合、「原因はここの部分から出ていますよ」と伝えます。
それから、お子さんを預かって健全になるようにします。
結果を出すのはそんなに難しいことではないんです。

ところが、元の環境にその子が戻ると、
そこには問題の種がありますから、また戻ってしまいます。
だから、「お子さんはここで引き受けますが、
そちらはそちらで自分たちの在り方を見直して下さい」と言うことです。

きーちゃんの場合はまわりの環境が大きな原因だとしたら、
ここに来なくても、家族で話し合うだけで良くなるのかもしれません。

ただ、現実に今昼夜逆転の生活を送り、食べ物の嗜好も偏ってしまっているので、
しばらくは身についてしまった習慣を切り替えるためのトレーニング期間がいるのかもしれません。
話し合った上でここが適切ならばここに来て、良い習慣を身につける。
そして、家の環境も整えられれば、学校にも戻れるということになったんですよ。

それで、お父さんがいらっしゃったら、
そのことを提案してみようということでした。いかがでしょうか?

お父さん:
はい。よくわかります(笑)。

いさどん:
それでは、一度みんなで家族会議をしましょう。
1回リセットし、みんなで今後どうしようかを考えましょう。
今まで良い風が吹かなかったのはなぜだったんだろうということを考え、
話し合う機会を持てたらと思います。

きーちゃん:
パパも正直に言っちゃえばいいんだよ。

いさどん:
はっはっは(笑)。
とかく正直が出ていないことが一番の原因なんです。
そこでは正直を噴き出させることが大切です。
それは、対立するためではなく、良い世界をつくるためですから、
最後はみんなで笑い合えればいいですよね。

お父さん:
はい。ぜひよろしくお願いします。

いさどん:
では、家族会議のオブザーバーとして出張しますよ!

きーちゃん:
嬉しい!

いさどん:
きーちゃんは、もう半分くらい良くなった感じだね!


2 thoughts on “子は親の鏡~面談・後編”

  1. 世の中の問題はこのようにもつれた糸が解けて行けばあっさりと解決して行くことが多いかも知れませんね。要はその糸口をつかむことですが、それが見えているいさどんには感服します。

  2. ご家族がよい方向に向かわれることを心よりお祈り申し上げます。 それにしても、身を挺して問題提起しているきーちゃんは、多分それがお役目なのでしょうけど、すごいですね。 

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