2017年9月23日、秋分の日の朝。以下はいさどんとようこの会話です。
いさどん:
僕もおかげさまで66歳になった。ということは、いただいた寿命からしたら、終末までもうカウントダウンということだ。そうすると、「やっとここまで来た!」という想いと、「いろいろあったけれど充実した人生だ」という想いが湧いてくる。
僕は過去の自分の歩みに対して、何も悔いはない。そして、執着するものも何もない。今後の人生にも願いは何もない。やりきって、完熟して終わるということなのだが、このダイナミックさには少し疲れたよね。だから、旅立った先のことは何も言えないけれど、しばらく肉体を持つのは控えようかと思う。トラウマになったわけではないんだけどね。肉体を持つことは良い経験だね。それが80年であろうが、100年であろうが、魂の歴史からしたら、それはそれほど長い期間ではない。
はじめから生きることのカラクリがわかっていれば、もう少し楽しめたのかもしれない。ただ、わかっていると――、実は今朝、僕は避難訓練をしている夢を見た。女の人たちや子どもたち、それからお年寄りまで、屋根の上に上らせてね。どちらかというと、僕がリーダーシップを取って皆を上らせていたんだよ。上らせたというか・・・
ようこ:
それは訓練だから(笑)?
いさどん:
訓練というよりも、どこか目的地に行くためには、その古い家に入って、その家の窓から出て、それでなぜだか屋根から下りないといけない状況になっていた。それ以外になかったんだよ。
それで、皆、順番に下に降りていくのだけれど、なにしろ僕は屋根の上にいるのが怖くてね。いつもならば、「これは夢だ」と気付くのだが、今回はまったく気付かなかった。ああ、怖かったなあ(ようこ笑)!!それで、一番最後になんとか下まで降りてきたけれど、本当に怖かった!しかも、ハシゴはとてもしょぼいもので、下でそのハシゴを支えてもらいながら必死に僕は降りてきた。
本来は、これは夢だと気付かないといけない。しかし、今回はその余裕がなく、まったく気付けなかった。僕は本当に高いところはダメだ。
そもそも・・・なぜ、避難訓練で屋根の上に上らないといけないのか!?それにしても、本当に怖かったなあ!!
なぜ、あそこに上ったのかということを考えたら、いつもの僕であるならば振り返って、「屋根から下りるよりも、上ったところへ戻って、そこから下りればいい」という考えも湧いてきたはずなのに、それにも気付かなかった!視野が狭かったなあ!!
・・・というように、カラクリがわかっていたら、このような思考になるんだよ。
ようこ:
怖い思いをすることもなかった(笑)。
いさどん:
だから、カラクリがわかることはダメだよね。でも、ここまで心の道を歩んでくると、それがカラクリであることがわかるから、何も恐れずに、思い切り終着点に行くだけだね。
なぜなら、命がなくなるということは、すべてがなくなることではない。それはこのサイクルが終わるというだけのこと。それで、誰もがそこを超えていくわけだろう?それを拒否して存在できる者は誰もいない。
ようこ:
いないね。
いさどん:
それは、高所恐怖症の人が夢の中で屋根の上から下りることを拒み、怖がることと同じなんだよ。
ようこ:
そこにつながった(笑)。
いさどん:
だから、恐れてはいけない。・・・そうか、残りの人生を生き切るぞ。幸か不幸か、世相はとてもダイナミックだ。今までのように、もう浮かれてはいられない。そのような時代に入った。だから、現状の危機迫る日々に対してしっかりと眼を向けて、その荒波を乗り越えないと、生きていることの限界が来る。生きていることを楽しめないどころか、限界を感じてしまう。
そのために、心強いのは、本当に心から通じ合った仲間がいること。そして、それが群れて、皆の能力がしっかりと発揮され、その難局を乗り越えていく――、ここまで来たら、もはやそれしかないだろう。
お釈迦様の話の中に、家に火がついたのに子どもたちが気付かないで庭で遊んでいるというたとえ話がある。だから、お釈迦様はそれを何とか助けようと思って、家に火がついていることを気付かせようとするのだが、子どもたちはまったく気付かないで朗らかに遊んでいる。それが、今の人間たちの生きる姿勢だ。
昨日、みちよちゃんがようこに「綺麗になったね」と言っていたね。やはり、そぎ落とすと、人は綺麗になる。
ようこ:
「自己否定の申し子」であるいさどんの姿から、毎日学んでいるからね。
いさどん:
僕は自己否定しながら、自らの歩むべき道を頑なに進んでいる。
ようこ:
結局、いさどんの夢の話もそうだよね。そうやって、自らの未熟を夢の中でも振り返りながら、気付けなかったことに気付いて、そぎ落としているわけだから。今日の秋分から、そぎ落としのサイクルに入ったしね。それにいさどんは、「宇宙的には、9月に入って新たな流れが始まっている。秋分からその現象化が加速する」とも言っていたね。
いさどん:
いよいよ、拡大の時代は終焉を迎え、そぎ落としの時代を迎える。今は、1万年を超えるサイクルの区切りだから、何回も何回もその段階を踏んで、その区切りは来るのだけれど、その区切りのたびに意識を強めて、明快にしていくということだ。
ようこ:
それが、「スイングバイ」なんだろうね。節目ごとに加速して、加速して、加速して・・・
いさどん:
スイングバイは欠くことのできないとても有効な物理性ではあるけれど、それは精神性に対しても非常に重要な物理性なんだよ。
ようこ:
スイングバイとは、天体の重力を利用して宇宙探査機の軌道を変更する方法だから、わたしたちも節目ごとに軌道修正しながら不要な心をそぎ落としていける。さらに、スイングバイによって天体の公転運動を利用することで、宇宙探査機を加速させることもできるから、わたしたちも方向性を定めたら、進むべき道へどんどん加速しながら進んでいけるということだね。
いさどん:
軌道修正する方向に意識を向けていくと、その意識は加速しながらタイミングを計り、ベストなタイミングで進むべき方向へと放たれていく。小惑星探査機が地球の軌道から離れて目的地へ向かってスイングバイするためには、地球の公転速度である秒速30km に乗って、それ以上のスピードまで加速する必要がある。同じスピードでい続けたら、ただ地球のまわりをぐるぐる回っているだけになってしまうからね。
人間はそのような優れた叡智を解明し利用しているのだから、やはり魂にもそのような仕組みを取り入れていかないといけない。「物心両面」というからね。
ようこ:
そのためには、先程いさどんが語ったように、群れて、自らの姿をお互いにチェックし合うことが大切だね。
いさどん:
それでお互いを活かしあってね。
ようこ:
そうして精神性を高めていく。
いさどん:
目的がいがみあうことではなく、高まっていくことになければいけない。それも、ひとりの存在が高まるのではなく、皆の意識が高まっていったときに、世界に次のステージが現れる。これ以外の道がどこにありましょうか。
ようこ:
これ以上の突破口がどこにあるのだろうか。それは、無限の可能性の彼方にあるものだね。
いさどん:
それは無限の可能性であり、宇宙の意志だ。地球が宇宙に存在し、時代は宇宙の動きと共に刻まれているのだから、それが人が目覚めるべきところだ。我々は太陽と共に、土と共に、水と共に、空気と共に、風と共に、物心両面で宇宙を歩むものなのだ。
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