うつ病とは何か~前編

今回は、「現代医療について語る」、「『治療』としての情報提供」に続き、
エリーといさどんの対談第3弾です。

エリー:
木の花では、特にうつ病のケアについて実績がおありかと思いますが、うつ病とは何か、
そしてなぜ木の花では治るのかについて、お考えのところを述べて下さい。

私見では、うつ病とは、木の花で言う心の癖や心の汚れにより、
精神エネルギーが大きく消失した状態と考えますが、
うつ病という心の病は自己責任として当事者が責められなければならない、
或いは乗り越えていかねばならないものなのでしょうか。
要するに、病気になっただけでも大変であるのに、
心の癖や心の汚れと言われることはあまりにも辛いものではないでしょうか。

いさどん:
まず、うつ病とは何かということですね。
うつというのは、陰陽で表わせば陰性現象の表われです。

生きていれば、健康な人でも朝起きた時にうつ的になっていることがあります。
何か自分の前に重い課題がある時には、積極的に前に進みたくないという感情が出てくるものです。
それは、天気にも左右されるものです。
晴れている時は気分が良く、雨の時には積極的にはなれないという傾向は誰にでもあるものです。

ですから、健康な人の中にも、うつ的な状態と躁的な状態、
また、その中間の安定した状態が繰り返し表われてくるものです。
うつ的に自己コントロールを失った状態が、うつ病と言えるのでしょう。

次に、うつ病の原因についてです。
うつ病の原因には、環境的原因と人格的(霊的)原因があるという捉え方をしています。

環境的原因というのは、その人の生まれた時からの環境のことであり、つまり、人間関係です。
親が子供に対してどのように接してきたのか、
夫婦の関係、兄弟との関係などが大きな原因になります。

人は成長するにしたがって、その人の人格にふさわしい人生を生きていきます。
親が与えたことや他者との出会いがその人の人生観や人格に合っていれば、問題は起きません。

しかし、親の発想で目的などを強く与えてしまうと、そこで問題が起きることになります。
陰性的な性質を持っている子供に対して、「こうなりなさい、ああなりなさい」と接すると、
子供は委縮してしまい、人の顔色を見て生きていくようなことにもなります。
陽性的な性質の子供に同じように接すると、
反発的エネルギーが出て、反発的行動をする人になります。

そうやって、子供時代に自分自身を十分に表現出来ずに育った人は、
大人になってからも子供時代を抜け出せなくなり、
発達障害のようなことになり、幼児的な大人になってしまうことがあります。

陽性的な性質を持っている子供であれば、
親の価値観で子供をコントロールし過ぎてしまうと、そこでは陽性的な行動が封印されますので、
大人になってからその幼児性が暴走的に表現されたり、
逆に陰性のうつ状態になってしまう人もいます。

そうすると、うつ病というのは陰的に偏ってエネルギーが表現されている状態ということになります。

このように、人は生まれながらにして、自分が育っていく環境をいただくわけです。
その環境は、自分がつくり出すものだけではなく、
まわりがつくり出したものの中に自分が生まれ、その環境の中で歩んでいくわけです。
人は、その環境に大きく影響されます。

うつ病だけではなく色々なトラブルを持っている人に私が出会うと、必ずすることがあります。
それは家族関係を確認するということです。
その人と両親の関係がどうであるか。親の夫婦関係がどのような状態になっているのか。
それから、その母親、父親はどのような環境で育ってきたのかということを、
その人の母親の両親、父親の両親の関係から見ていきます。

あとはその人とその兄弟がどういう関係なのか。
本人がどういう性質をしていて、
兄弟の中の長男であるとか次男であるとか、長女であるとか次女であるとか、
その人の魂に合っているような位置関係なのかということを見ていきます。
例えば、長男的性格でありながら次男に生まれてきたとか、
次男的性格でありながら長男に生まれてきたとか、そういったことも環境的原因になります。

さらに、もうちょっと広い環境、学校での対人関係や、
大人であれば成人してから現在に至るまでの人間関係も観ていきます。
そういった人間関係の中で、その人自身がどのような性格を表現しているのか。
その心の表わし方にどのような癖があるのか、を捉えていきます。

そういったことを観ながら、その人の心にどんな負荷がかかっていったのか、
性格的な表現をどのように使い分けてきたのか、ということを見ていきます。

さらに、一人一人には魂の形があり、それも捉えていきます。
私たち人間に限らずこの世界の生命というのは、
大部分のものが陰と陽、オスとメスという形で一対となり、新しい命を育むようになっています。

肉体的に男性は陽、女性は陰と捉えます。
私たちは肉体と魂、精神性を同居させながら生きています。
その精神の部分を陰、肉体を陽と捉えることも出来ます。
さらに、その精神にも、
男性的精神である陽と、女性的精神である陰とに分けることが出来ます。
肉体が男性でありながら女性的な精神を持っている人もいれば、
肉体が男性的であり、かつ精神が男性的な人もいます。
また、肉体が陰の女性であり精神が男性的な人もいれば、
その反対の肉体も精神も陰の女性という人もいます。

今まで話してきたのは、外的因子と内的因子です。
外的因子というのは環境から来るものであり、
自分に与えられた家族関係や人生を通しての色々な出会いのことです。
内的因子としましては、元々持って生まれた肉体的な原因と魂的な原因です。
そういったものが複雑に組み合わさり、私たちは生きています。

今までうつ病の人や色々なトラブルを抱えている人に出会ってきました。
傾向として大まかに分けることは出来ますが、
原因があまりにも複雑に絡み合っていますし、同じケースは一例もありませんでした。

ですから、そういった一人一人に対処するには、その人が問題に至った経緯を、
もつれてしまった糸を解きほぐしていくように取り組んでいくことが必要だということです。

うつを改善するため、そのもつれた糸を解きほぐす作業をする際に、私が心がけていることがあります。
それは、決してこちらから解答を出さないということです。
その人自身が自分の今の状態に直面し、自分の状態を正しく把握することです。
そのための環境を与えながら、気づきが生まれるためのサポートをしていきます。
決して治してあげません。

その時に、薬を飲んでいると精神が麻痺していますから、
なかなか自分自身を自覚することが出来ません。
ですので、まずは薬の影響をなくすという作業が必要になってきます。
ただ、本人の意志で断薬出来ない時には強制しません。
無理にすればストレスがかかってしまい、安定した精神状態に戻ることが出来ないからです。

自分の意志で薬をやめるまでこちらは待つ、という姿勢をとります。
本人の意志で薬を飲むのをやめられた時には、
薬の影響がなくなった状態というのがどういう状態なのかを感じてもらいます。
そうして、うつの状態が自分の中でどのように起きているのかに気づいてもらいます。
その気づきの積み重ねにより、根本にある原因から組み立て直していくわけです。

うつの状態になると色々な症状が現れてくるものですが、
医療ではそれに対して薬でコントロールすることになります。

また、一般ではうつ的に籠ってしまっている人が睡眠障害である場合は、
睡眠薬を与えて解決を図りますが、ここでは薬の効果に頼らず、
うつ状態の時にはそのままでいてもらいます。
睡眠がとれない時には体が睡眠を求めていないのですから、無理に眠ろうとしないことを勧めます。

ここでは薬の代わりに声かけをします。
籠っている人にはその人の気持ちがほぐれるように声かけをして、
前向きになれるような提案をしていきます。
その時に、その言葉を受け入れることが出来る人は、薬と同じような効果を得られるようになります。

薬の代わりに声をかけアドバイスをすることによって、薬と同じ効果を少しずつもたらしながら、
本人が心の状態を変えていけるような指導をして、
自分でうつ的な状態を乗り越えていけるように導いていきます。
そうやって、うつ病の原因を自分で捉えることが出来るようになっていきます。

また、本人にそういったことが難しい場合には、私やサポートチームが手助けをします。
木の花では前向きに日々を生活している人が多いので、
そういった人たちからヒントをもらいながら、うつから回復していく手助けにしてもらいます。
それが治療的効果であったり、薬的効果、カウンセリング的効果をもたらしていると考えます。

こういったことが、「心の免疫力」をつけると捉えています。

さらに、ここでは「農」的生活をしています。
朝、農作業に出て、昼間は太陽とともに過ごします。
うつ的な人が太陽に当たるということは、
陽性のエネルギーをもらうわけですから、陰性の病気であるうつ病回復に効果があるわけです。

それから、陰性のエネルギーが強い場合、大地のエネルギーと触れることによって、
それをアースして中庸に持っていくことが出来るという効果があります。
これは園芸療法でも言われていることです。

さらに、「規則正しい生活リズム」を回復していきます。
私たちは月と太陽、地球の3つの星の影響を受けて生きています。
その関係に基づいたリズムに合わせていくことが大切です。
うつ病の人は概ね、昼間眠くなって夜起きているという傾向が強いですね。
だから、たいていの人は睡眠障害が起きています。
自然の中で農的な生活をすることによって、崩れたバランスを取り戻し、
自然治癒力により健康を取り戻していくことが出来るのです。

また、「食」も大切なポイントです。
「人が良い」と書いて「食」と読みます。
食べ物には陰性の食べ物と陽性の食べ物がありますが、
食べ物を間違って摂ることも心身のバランスを崩す原因となります。

陰性の季節の冬に陽性の食べ物を摂る、
陽性の季節に陰性の食べ物を摂り体を冷やすのが、自然が与えてくれた健康なのですが、
陽性の季節に陽性の食べ物を摂ったり、
陰性の冬の季節にナスやキュウリ、トマトを食べたり、暖かい地方のバナナを食べたりすると、
陰性の体質が余計に陰性になるわけです。
そういう意味では、食べ物が精神性にも大きな影響を与えているのです。

それから、過剰に砂糖等の嗜好品を摂り過ぎると、
精神的に不安定になったりキレやすくなるということがあります。
ですので、食というものをしっかりと吟味することが大切です。
これは「体の免疫力」をつけるということです。

ここには、そういった様々なことをバランス良く提供出来る環境があり、
うつ病が総合的に改善される環境が用意されているのです。
うつ病に限らず、引きこもりや依存症、
家庭内や社会での人間関係に行き詰まっている人たちも改善される要素がここにはあります。

心の病気には、当事者が自分自身の心の癖が原因だと認め、前向きに取り組みたいものです。
そこを逃げてしまっては、治るということにはなりません。
しかし、そのことを責められるということではありません。
そのことを自覚し理解した上で、自分で立ち直ってくることが大切です。

それを手助けするのがこの考え方です。
「あなたの心の癖が原因していませんか?」というこちらの提案に対して、
日々うつ的に捉えている人にとっては、自己否定され責められていると受け取る場合もあります。
そこで責められていると捉えるのは、まだうつ的な病気の種がその人の中に残っている状態です。

あくまでも私たちが行っていることは、常に情報提供をしているということです。
うつ的な因子が沢山あるならば、その原因となる要素を情報として提供します。
その情報を客観的に受け取り、自分の中で整理し、
取り去っていくべきものを取り去っていき、残していくべきものは残していく。
そうすることで心のバランスが取れ、
さらに環境的な因子や過去のトラウマ的精神状態を取り去っていくという作業をすることによって、
うつ病が治っていきます。

心と体の免疫力をつけ、そういった問題を引き起こした環境的な原因を改善していけば、
病気の治癒には大変有効です。
親子関係が大きく影響している場合は、
ご家族に来ていただき、ご家族にもそのことを学んでもらいます。

それから、職場などの環境についても整えてもらうことが出来れば、
うつ病の種をなくすことにもなります。
問題の種を取り去ることも出来るし、そういった発生源をなくしていくという予防にも有効なことになり、
その結果学びが深くなれば、うつ病になることはまんざら悪いことではない、ということにもなりますね。

このように、物事には全て原因があって結果が生まれてきます。
ですから、うつ病という結果をもたらしている原因を捉え取り去っていくことは、
根本的な解決につながっていきます。

心の癖、心の汚れというのを癖や汚れと捉えることも出来ますが、
そういった様々な問題を引き起こしている種や原因と捉えれば、
それをきっかけに人間関係や社会の問題事を解決していくことにもつながっていくわけです。
そう捉えていけば、うつ病になることは社会の様々な問題を解決する糸口にもなります。

うつ病の捉え方と、なぜここでうつ病が治るのか、
治るために何を提供しているのかということについて話をしました。

また、エリーの私見として、「うつ病とは精神エネルギーが消失した状態」とありましたが、
人間は一人一人エネルギーを持っています。
生命エネルギーを沢山持っている人もいれば、少ない人もいます。
その使われ方に問題が起きている原因があると捉えています。

例えば、0℃で1ccの水をマイナス10℃に持っていくのと
プラス10℃に持っていくのに必要なエネルギーを比較してみると、
マイナス10℃に持っていくには10カロリーのエネルギーが必要ですし、
プラス10℃に持っていくのも10カロリーのエネルギーが必要になります。

このことを質問すると、マイナス10℃に持っていく方が
エネルギーが多く必要だと錯覚してしまう人がいます。
しかし、これは同じエネルギー量なんです。

マイナス10℃に持っていくということは、より寒くなっていきますね。
これがうつ的な方へエネルギーを持っていく人のエネルギーの使い方です。

0℃からプラス10℃へ持っていくエネルギーの使い方は、
躁的にエネルギーを使う人のあり方です。
とかく今の時代はプラスの方を求める傾向にあります。
プラスへ持っていく方が良いことだと捉えられていますが、
これはどちらが良いと言うことではありません。

基本的にこの世界では、プラスマイナス0が一番安定した状態です。
そこから、ある時はマイナス10℃、ある時はプラス10℃に持っていくとすると、
プラスマイナスの振れ幅は20ですね。
これがその人の使えるエネルギー量になります。

そうすると、10のエネルギーしかない人が、
そのエネルギーを全部マイナスに持っていってしまうと、うつ的になるわけです。
逆に、10しかエネルギーがない人が全部プラスに持っていってしまうと、躁的な状態となります。

しかし、有効なエネルギーの使い方というのは、
その場に合わせてある時は全部をプラスの方へ持っていったり、
ある時はマイナスの方へ持っていけば、
10のエネルギーの人がマイナス10からプラス10まで20のエネルギーの幅で使えることになるのです。
マイナス10にばかりエネルギーを持っていっている人と、
プラス10にばかり持っていっている人がいるとしたら、
同じ10を使うにしても、そこでは20の開きがあるということです。

それはどちらが良いということではなく、
「あなたはそのようなエネルギーの使い方をしていますよ。
あなたは自分のエネルギーをわざわざマイナス10℃に持っていって凍えているのですよ」
ということになります。

マイナス10℃の凍えている状態には、物を腐らせず安定的に保つという効果があります。
プラス10℃に持っていけば、物はどんどん変化し壊れ腐っていくわけですが、
食べたりするにはちょうど良い状態と言えます。
そういったことを使い分けられる人になることが大切です。

これがバランスが良く安定した状態です。
その使い分けが十分に出来ず偏ってしまっている人が、病気の状態です。
どういったエネルギーの使い方をしているのかということを伝え、
そのことに本人が気づき、それを使い分けられる人になると健康な人になります。

病気でない人でも、そこまでの使い分けは出来ていませんので、
うつをきっかけに、そういった自己コントロールが出来るようになれば、
病気発生以前より心が安定した人生を歩むことが出来るようになります。

自分の心をしっかりコントロールし、使い分けが出来ている人は、
癖が個性として活かされている状態です。
そういった人は、一般社会で生きている人の中でも生きていく意識が高い状態になります。
誰でも、高い意識を持つ人になれる可能性があります。
そういったことをここでは提供しています。

(後編に続きます。)


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