めいちゃんのケア分析

 4月20日から2カ月弱、ここでケア滞在をした41歳のめいちゃん。卒業コンサートの時には自らの想いを正直に綴ったケア滞在記を読み上げてくれました。今回は、そのケア滞在記をご紹介したいと思います。

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二年前に木の花ファミリーを知り、ホームページにある「おやじの館」(現 心の湯治場)をずっと読ませてもらっていました。精神の薬を飲むようになってから、かれこれ18年以上たちます。最初は抑うつ神経症だとか鬱病と診断されていて、躁の症状が出るようになったのは7~8年前くらいだったと思います。 これまで心の病に効果があるといわれることはたくさんチャレンジしましたが、どれも効果は持続しませんでした。

木の花ファミリーへ来れたのは、完全に行き詰まり木の花ファミリーに賭けるしかなくなったからでした。そううつ病よりも集団恐怖や対人恐怖症のほうが実は辛い私にとって、ここへ飛び込むことは大変勇気のいることでした。24時間生活を共にするということは私にとって大きなプレッシャーでした。

 *各種依存症の克服について*

ここに来た当初、私はニコチン中毒・薬物依存症や共依存症(人への依存)などあらゆる依存症を持っていました。何かにもたれていないと保てない、とても危うい自分でした。今後も誘惑に負けないコントロールが必要です。 最初に苦労したのはタバコでした。一日一箱だったのを一日5本~3本と徐々に減らしていき、禁断症状もどうにか乗り越えて一週間ほどでやめれたと思います。ここに来た時点で精神の薬は6種類あったのですが、一週間経過した頃2種類のこううつ剤と1種類の躁の薬を思い切ってやめました。睡眠薬や躁のお薬はやめるまでにかなり時間が掛かりました。最後に躁の薬をやめたのですが、一ヶ月と10日も掛かりました。ケア滞在史上で最高記録になったのではないでしょうか? 今思うと、これらの依存症は寂しさを紛らわす一時的な手段であり、自分と向き合う苦痛から逃避する手段でもありました。ここの環境なくしてはどれもやめることはできなかったと思います。精神的に自律している人たちの中に入る体験ははじめてなのですが、特定の人を拠り所にできないということは、私にとって補助輪のない自転車を一人でこぐくらい不安で心もとないことでした。今でも誰かにもたれたい傾向はあるのですが、その誰かがいなくても大丈夫な自分もできてきて新鮮な感覚です。

*高い精神性と多様性がもたらす効果*

木の花ファミリーの高い精神性には圧倒されっぱなしなのですが、それにつられていくと誰に言われることなく、自然に自分の問題点に気づいて修正していけるところがとても良いです。集団なのでたくさんの考え方にいつでも触れられ、自分の偏りに気づくことでバランスが取れるんだなと思いました。そして相談を持ちかけるとみんなが手を止めてでも我が事のように懸命に話を聞いて一緒に考えてくれます。これは一般社会ではほとんどないことで、一人ぼっちじゃないと実感させてくれました。これはうつが回復する大きな要素だと思います。

いさどんから私の中の独特な個性や発想のユニークさを生かすと人間関係も良くなるよとアドバイスをもらいました。具体的には、たとえ話をすることが得意だとまりねぇが教えてくれました。その場その場で思い浮かんだイメージを口に出しているのですが、それが場の雰囲気を和ましているなという実感がありました。最近でいうと、子供たちが入った後の浴槽のお湯のにごり具合を見て「はまぐりのお吸い物もこんな色してるよね」と言って、“さすがめいちゃんらしい発想でユニークだね”というような反応がありました。

私はいじめや虐待の多い人生を送ってきたため、とても長い期間心に分厚い鎧をつけて閉ざすことで自分を守ってきました。そんな私にとって“正直・素直・信じる”の中の正直の部分で、隠し事をせず心をさらけ出すということは驚きでした。ここにいると、どんな醜い自分でも許されているのだなと心の狭い私は申し訳ないようなありがたい気持ちになり、心がほぐされました。2ヶ月の滞在でもまだ自分を出し切れておらず、今後の課題となりました。木の花ファミリーが心磨きをしている内容はそのままケア滞在する者にとって短期間で癒しをもたらすものとなっていると実感しました。

さて、薬をやめることはできたけれど、病を引き起こしている心のあり方のほうが改善されていません。その心のあり方というのは私の場合、被害者意識と不平不満や愚痴が多いというところです。これは今後一番大きな課題となりました。それから自分を許すということも課題です。また一人で行き詰まったら、長期滞在で勉強させてもらいに来ます。そのときはよろしくお願いします。

今後はいさどんからも提案してもらっているように人の心をケアできる人を目指す方向で歩んでいきます。私の分析力や洞察力は人様に有効に使える考え方に切り替えていきます。

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卒業コンサートの後、みんなに見守られながら、ご両親とお兄さんと一緒に帰っていっためいちゃん。めいちゃんの特徴は「独特な個性」と「賢さ」です。今まではその個性を人に理解されないと孤独に感じたり、賢さを不平、不満のエネルギーとして使ってきた結果、鬱病が発症するまでに至りました。これからはめいちゃんらしく生き生きと、その高い分析能力や心理学を勉強してきた知識を世の為人の為に生かしていってね。私たちは家族なのだから、これからも心を学び続けながら、共に歩んでいこうね。


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