タイの代替教育学校から留学生として木の花ファミリーにやってきた、高校生のナッちゃんとマインちゃん、そして先生のワンちゃん。3ヶ月間の滞在を終えた最後の日、3人といさどんが話し合う時間がありました。
いさどん:
いよいよ、最後の日になりましたね。この3ヶ月間は、短かったですか、長かったですか?
ナッちゃん:
短かったです。通常なら3ヶ月はとても長く感じますが、ここでの3ヶ月は本当に短かったです。
いさどん:
僕はこの出会いをとても大切なものだと思っています。だからと言って、この先に何か具体的なことを期待しているわけでもありません。大切なことは、皆さんが何か新しいものを取り入れて、変化することです。そして変化した姿でタイに戻ると、周りの人々もそれを感じて、反応が変わるでしょう?
とかく人は何かを得ると、それをもって何かを起こそうとします。そういった意欲を持つことは大切です。その時に、あなたが起こすことへの答えとして、周りの人たちの意識レベルにふさわしい反応が返ってきます。そしてその反応に応えていくということが、冷静な対応です。
3ヶ月間というサイクルの中で、今はひとつのポイントでもあります。皆さんが自分は変化したと思っている以上に、周りはそれを感じるはずです。ここに来てすぐの頃には、ごはんがおいしくて食べ過ぎて、体重が増えるという変化があったでしょう?(笑)でも、今はまた元に戻りましたね。3ヶ月というのは、ちょうどいいサイクルなのです。
ワンちゃん:
そうです。3人とも体重が元に戻りました。
いさどん:
体は元に戻ったけれど、心は大きくなりましたね。それがお土産です。次のサイクルに行ってみましょう。答えはその先にありますから。
マインちゃん:
責任と共にタイに戻るのだと感じています。
いさどん:
僕は、伝統的な優れた教えというものには、あまり興味がありません。新しい時代には価値観がガラリと変わります。僕は、21世紀をどう生きるかということについてはたくさんの情報を持っていますから、それをまた皆さんに共有できたらと思います。来年の2月から3月にかけて1ヶ月間の真学校が開催されますから、ナッちゃんもマインちゃんもそれまでに英語をしっかり勉強して、受講できるくらいになるといいですね。
皆さんからは、この3ヶ月間の感想は何かありますか?いいことはたくさんあったと思いますが、例えば何か大変だったことはありますか?
ナッちゃん:
タイの学校では週に2日休みがあるので、ここの人たちのように毎日働くのが少し大変でした。
いさどん:
「働く」というのはね、本来、生きることそのものなんですよ。ここではみんな、今の社会のようにお金を得るために義務的に労働するのではなく、生きるための毎日の行動として働いています。自然界に休日はないでしょう?人間でも、例えば食べることや排せつすることを休む人はいませんよね。
ワンちゃん:
ここの皆さんのエネルギーに感心します。日中は働いて、夜も遅くまで大人ミーティングをしているのに、皆さんの魂がとてもいい状態なのを感じていました。私は時々朝に「もっと寝ていたいな」と思うことがありましたが、「みんな働いているんだから、こんな風に怠けていちゃいけないわ!」と思って起きるようにしていました。
いさどん:
ハッハッハッ。働くことを義務的に考えると、そうなるんですよ。僕は、もしも休日を与えられたとしても、いつもと同じように生活しますよ。統計によると、現代の一般的なサラリーマンの暮らしは、月曜から金曜まで過酷な労働をし、土曜にストレス解消して、日曜に家族サービスをするのだと言います。そのサイクルが、実は生命本来のサイクルを壊しているのです。
それはいつから始まったのかというと、日曜日を安息日と定めて休息しなさい、というユダヤ教やキリスト教の発想から始まっています。それは本来の教えに基づいているのではなく、教会が勢力を持つ過程で、教団を維持するために信者をつなぎとめようとして、週に1回は教会に来るような仕組みを作ったのです。
日本でも、30年ほど前までは週休1日が一般的でした。僕の親の世代は、休みは月に1回でした。もっと昔の人たちは、休日なんて取らなかったでしょう。その頃の人々は、今のように毎日過剰に労働をするのではなく、リズムを刻んでいたのです。
ところが生活が西洋化するに従い週休2日制が取り入れられ、それが世界基準のようになりました。僕が子どもの頃は、みんな欧米に憧れていましたね。夏に1ヶ月も休暇を取るようなライフスタイルは、憧れの的でした。一方でウォールストリートには、寝ることも惜しむような、日本人よりも働いている人々もいます。
大切なのは、リズムを刻んでいくことです。そしてなぜそのリズムが必要なのかということを、理解していることが大事なのです。
今、僕は皆さんに「毎日働きなさい」ということを伝えようとしているわけではありません。僕が伝えたいのは、義務的に生きるのではなく、積極的に生きましょうということです。
ナッちゃん:
タイの学校での毎日の暮らしは、義務的なことがとても多いです。
ワンちゃん:
授業料がタダということもあって、何かをやりなさいと言われれば、義務としてそれをやらざるを得ないような環境です。学校や社会の仕組みがトップダウン式になっており、学校は形式的に生徒たちの意見を聞きはしますが、生徒たちは「私たちの意見を取り入れもしないのに何で意見を聞くの」と思っています。
いさどん:
それは学校に伝えてあげればいいのではないですか。その勇気が持てるかどうかですね。
ワンちゃん:
勇気を持って伝えても、どんな結果が得られるかはわかりません。
いさどん:
わからないのがいいんですよ♪でも今までの皆さんの姿勢からは、どうせうまくいかないだろう、という空気が感じられます。
ワンちゃん:
例え伝えたとしても、何で言われたことに従わないのかと頑固者扱いされるのがオチです。
いさどん:
そこで諦めるから、そういう結果になるのではないですか。
義務的に生きていると、ストレスが溜まりますね。そしてストレスが増えたから、休みが必要になりました。ストレスを解消するためにお酒が必要になったり、特別な食べ物が欲しくなったり、レジャーに出かけるようになりました。ストレスが多い社会では、性も乱れます。食べることでも何でもそうですが、人が欲求を持って何かを得ようとすることは、すべてストレスから来ているということに気付かなければいけません。
そして社会は、ストレスを発生させ、それをビジネスチャンスとしています。ビジネス優先の世界がストレスを生み、そこにそれを解消したいという欲求が生まれ、それがビジネスにつながって、経済が膨らんでいくのです。ストレスの延長線上に、最終的に到達するのは病気や争いです。そうすると、医師や弁護士が活躍する世の中になります。それが問題なのです。優れた能力を持つ人々が、医師や弁護士など、本来ない方がよい職業を選ぶようになりました。それも「お金になるから」という安易な発想で選ぶのです。
ナッちゃん:
医者や弁護士だけでなく、本来必要のない職業についてお金持ちになっている、頭のいい人たちがたくさんいます。
いさどん:
そうすると、人はお金に取り込まれ、お金のために生きていることになります。それを解消するには、自分と向き合う必要があるのです。自らの発している感情がどういったところから出てきているのかに向き合い、そこをチェックする力を持たなければ、感情のおもむくままに無自覚に行動して、ただ欲望を叶えようとする世界が広がっていくことになります。
そう聞くと、多くの人が「それは大切なことだ」と思いますよね。しかし、実際に行動する時には、自分の中にある感情に負けてしまうのです。
ナッちゃん:
本当にそう思います。インスタグラム(画像共有サイト)で、例えば誰かが「この映画を観に行ってすごく面白かった!」と言うと、私も「やるべきことのリストにこの映画を加えなくちゃ!」となって、実際に今、3つの映画がリストに入っています。そして映画を一つ観るのに200バーツ(約600円)のお金を使います。3つなら600バーツです。それで映画を観に行けば、ポップコーンを買ったり飲み物を買ったり、映画を待っている間にお店を見てかわいい服やカバンがあればそれも欲しくなって、結局映画以外にもたくさんお金を使っちゃいます。
いさどん:
それは誘惑ですね。そしてそういった精神状態が、今の巨大な経済を支えています。そこには何かを人と共有するのではなく、自分だけがそれを得たい、という感情が働いており、それがたくさんの無駄な消費を発生させて、経済を大きくしています。
ナッちゃん:
ポケモンGOのようなゲームもそうですね。自分はこれだけ獲得したぞ!ということを見せびらかして、人の気持ちをかき立てています。
いさどん:
それは完全にバーチャルな世界ですね。そういうものに乗っていくことが自分をどこにいざなうかということを、冷静に観る心が必要です。
過去に宗教は優れた生き方を表現しましたが、それは良い社会を創るばかりではなかったですね。結局、人々の欲望を誘惑するものには太刀打ちできなかったのです。いつの時代でも、優れた生き方をして社会に貢献するのは尊いことです。社会を豊かに導く、人としての本物の道を歩むならば、常に良い世の中とはどういうものなのかを意識していることが大事で、誘惑に翻弄されているようでは逆の道を歩んでいることになります。そこがわかる冷静な目を持つことが必要です。
皆さんの中では、学校をどうしていくのかということが大きなテーマになっていますね。今回、ここに来たことはよいきっかけになったと思います。新しい価値観に出会ってリニューアルし、新しい風を学校に吹かせるチャンスです。
ナッちゃん:
私にとって、今年度は今の学校の最後の年です。だけど来年2月からの「1ヶ月間の真学校」に、本当に本当に参加したいと思っています。そのためには学校に説明しないといけません。そして2月までに、タイ語の通訳なしで受講できるくらい、英語が上達するかどうかもわかりません。もし言葉がわからなければ、ここに来ても時間を無駄にすることになります。そう思うと、いったいどうやって進んだらいいのかがわからなくなります。
いさどん:
人はそうやって、人生を自分の力で生きていると思って、いろんなことを計算します。人生を計算するということは、自分の人生を、その計算の範囲内である限られた枠の中に限定することになります。でも生きるということは、もっと自由なことなのですよ。どういう風に自由なのかと言うと、可能性がたくさんあるということです。その可能性を自らに取り入れるためには、限定してはいけません。
ナッちゃんも、他の2人もその傾向がありますが、何かをする前に先に答えを決めているんですよね。それは、自分の未来を限定しているということです。
ナッちゃん:
そうですね。未来を決めつけることはできないですよね!
いさどん:
それでね、あなた達の傾向として、悪い方に決めつけていますね。それでは自ら扉を閉じているようなものでしょう?
前にもお話ししたように、生きるということは、自分が生きているのではなく、この世界に生かされているということです。だから、生きることはいただくことなのです。そうでしょう?何か自分の力で生きていると言える要素はありますか?それは宇宙の法です。その法の中で生かされているのに、自分の考えで未来を決定するなんておかしいでしょう?
ナッちゃん:
そうですね(笑)。今までそうやって自分で勝手にネガティブな結論を出して、枠を狭めてきたと思います。これからはそういう事をしないようにしていきます。
いさどん:
そのためには、姿勢を上に向けないといけませんよ。そして自分の最善を尽くしなさい。そして答えは、いただくのです。そうすると希望が生まれます。
皆さんから何か質問はありますか?
マインちゃん:
今の段階ではありません。でもタイに帰ったら、たくさん湧いてくると思います。
ワンちゃん:
タイではポケモンGOを利用して大人が子どもを騙すという問題が起きており、保護者への警告が出ています。
いさどん:
人を依存症にさせるものというのは、それを利用する人々にとっては魅力的なものです。皆さんには食養生のプレゼンテーションを行いましたが、それは悪い食べ物への依存から目を覚まさせて、健康を取り戻すためのものです。何を食べたらいいのか悪いのかという話ではなく、正しいものを選んでいく心をつくることの大切さを伝えました。心ができれば、依存症を生み出すようなものに対して常に冷静でいられますから、そこに取り込まれなくなります。
皆さんはタイの学校に戻ってから、ここで学んだことを伝えるプレゼンテーションを行うことを企画していますね。それは個人的なものではなく、学校のためにも、タイの社会のためにも、地球の未来のためにも重要なことです。
ナッちゃん:
学校が私たちの提案を受け入れてくれるかどうかはわかりません。ようこちゃんはこの間、大事な話し合いにみんなが早く帰って来られるように、天と共同作業をして雨を降らせたと言っていましたよね。どうか学校の責任者がここに来られるように、念を送ってください!(笑)ここに来ればきっとわかるだろうから。
いさどん:
それは大いにやりましょう(笑)。それは天に心を向けるということですが、同時に、あなたたちがここでの滞在を通して、しっかり変化した姿を見せることが大事ですよ。
(ここで、その場にいたようこちゃんはいったん部屋を出ていき、しばらくして戻って来ました。)
ようこ:
では、皆さんに小さなプレゼントがあります。私は今の話を聞いて、何かを3人に渡したいなと思い、何があるかわからないけど自分の部屋に戻りました。そして、これを見つけました。
これは長野県にある、皆神山というところのお守りです。皆神山とは「皆が神さまの山」という意味です。今年の3月8日に私たちが皆神山を訪れた時に、宮司さんからこのお守りをいただきました。
これを皆さんにあげるのは、皆さんがこれを持って「神さま、私の願いを叶えてください!」とお願いするためではありません。これは、皆さんが「私が神さまなんだ。私が神さまと共同作業をしてこの世界を創っていくんだ」ということを覚えていられるように、お渡しします。そうしたら、皆さんにようこは必要ありませんよね。そして皆さんがその意味を本当に理解できたら、このお守り自体も必要なくなります。だけど今は皆さんにこれが必要ですから、神さまからのプレゼントとして差し上げます。
ワンちゃん:
3ヶ月間をここで過ごし、私たちは一人ではないということに気付きました。学校ではこういった生き方に共鳴する人がなかなかいなくて、自分たちだけでやるしかないのだと思っていました。これから先、困難に出会った時には、私たちは一人ではなく、皆さんと一緒に同じ目的に向かって歩んでいるのだということを思い出します。先駆者は自分で道を創っていかなければなりませんから、それは大変な仕事です。
ナッちゃん:
でも、諦めません!
いさどん:
これからは、みんなでひとつの目的を成し遂げていくのですよ。人間だけではなく、天も、時代も、仲間です。先駆者がくじけないのは、天とつながっているからなのですよ。
いさどん:
ここに、ひとつの文章があります。これは誰か特定の人に向けられたものではなく、目覚めようとする人すべてに向けられたメッセージです。
皆さんへのはなむけとして、この言葉を贈ります。
──── そして以下のメッセージが3人に贈られました。────
ある価値観が広まるということは、その時代を生きる多くの人々が、その意識にならなければいけません。たとえその価値観が、大局から捉えれば重要なものであったとしても、それが世の中の主流になるかどうかはまた別の話なのです。
世界を大局で捉えず人智で捉えている人々にとっては、その人智で進めようとしていることが主流になるためには、革命や社会変革運動のように努力して勝ち取らなければならないかのように思えることでしょう。しかし大局で捉えている者にとっては、社会変革は時代の変遷であり、流れなのです。ですから、ただただ今行き着いた精神を日々の中で実践しながら、時が来るのを待つのが、大局で世界を捉えている者の姿勢なのです。
そういった大局的な視点で世界を捉える者たちが現れたということは、次の時代が訪れる予告でもあります。なぜなら社会の動きは時代によって生み出されているからです。ですからあなたの存在が時代の流れと共にあるならば、自らの存在に自信を持ち、信念に基づいた行動をやり続けていけば、息が切れるほど長い時を待たなくとも、現実化することでしょう。それが天意であるならば、何も焦る必要はないのです。
そして天と共にあるかどうかは、行動の結果もたらされる現象が教えてくれます。だからこそ、日常の中で出会う出来事を通して、自らの立ち位置を認識することが求められます。
時の流れを感じ、時代の大局と共にある人々の勇気を讃え、エールを送ります。
〈 タイに向かって旅立つ3人を、みんなでお見送り 〉
いってらっしゃい!再会を楽しみにしています。
囚われを外したら
そこは宇宙だった
2017年2月19日~3月18日
「1ヶ月間の真学校」開催!
何か問題が起きた時「自分は悪くないのになぜこんな事が起きるのだろう」と思ったことはありませんか。
人は問題を見つけると、とかく自分の外に原因を探し、周りを変えようとします。ところが周りはどうにも変わることなく、問題だけが積み重なり、今や家庭の中から地球規模に至るまで、どこもかしこも問題だらけの、行き先の見えない世の中となりました。
しかしそれは視点を変えれば、大転換のチャンスでもあるのです。
1ヶ月間の真学校は、人生の問題のあるなしに関わらず、生きることの突破口を開く場です。そこに特定の正解はありません。一人ひとりが客観的に自己を捉える冷静な目を養い、視野を広げ、その人らしい人生を自ら切り開いていく力を身に付けます。
【日程】
2017年2月19日(日)~3月18日(土)
【会場】
木の花ファミリー
【定員】
15名 定員に達し次第受け付けを締め切ります。
【参加費】
18~22万円 収入に応じたスライド制です。受講料や食費など1ヶ月間の滞在費全てを含みます。
【内容】
「農」「食」「医」「経済」「環境」「教育」「社会」「芸術」と多彩な切り口の講座を通して、受講生一人ひとりの心の性質や人生の使命、そして時代の流れを読み解きながら、この世界の真実を観抜く心の目が開かれるよう、いざないます。
講座例:人格を学ぶ講座(カルマ読みと地球暦)/コミュニティ創設講座/天然循環法の畑作・稲作/ファシリテーション/世界観を広げる/菩薩の里の経済/自然療法プログラム/食養生/有用微生物群の培養/天然醸造味噌作り/創造性と芸術/カタカムナ/性と宇宙/自然災害と防災/持続可能な心の持ち方
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